「ExcelでAIを使いたいけど、チャット画面を開くのが面倒…」「セルの中で直接AIを使えたら便利なのに」――そんな声に応えて、Microsoftが2025年に発表した革新的な機能が「COPILOT関数(コパイロット関数)」です。
この関数は、Excelのセルに直接AIへの指示文(プロンプト)を入力するだけで、AIが自動的にデータを分類・分析・要約し、結果をセルに返してくれます。今まで「関数」といえばSUM・AVERAGE・VLOOKUPといったものでしたが、COPILOT関数は次元が違います。関数の引数に「日本語の指示文」を書くだけでいいのです。
この記事では、COPILOT関数とは何か・使い方の基本・便利な活用例・注意点まで、初心者の方にもわかりやすく解説します。
COPILOT関数とは?Excelのセルで直接AIを呼び出せる新しい関数

COPILOT関数は、2025年にMicrosoftがExcelに追加したAI関数です。数式バーに次のように入力するだけで使えます。
=COPILOT("AIへの指示文", [参照するデータ範囲])
たとえば、A2セルに「犬の散歩」と入力されていて、B2セルに =COPILOT("この内容をカテゴリ分けしてください(運動・食事・睡眠・その他)", A2) と書くと、AIが「運動」と返してくれます。
なぜこれが画期的なのでしょうか?それは、100件・1000件のデータがあっても、数式を1つ書いてコピーするだけで全行をAIで自動処理できるからです。今まで手作業でひとつひとつ分類していた作業が、一瞬で完了します。
COPILOT関数でできること
| 用途 | 入力例(プロンプト) | 活用シーン |
|---|---|---|
| カテゴリ分類 | 「この商品を食品・日用品・衣類のどれかに分類して」 | 商品マスタの整理 |
| 感情分析 | 「この口コミがポジティブかネガティブかを判定して」 | 顧客フィードバックの分析 |
| 文章要約 | 「この文章を20文字以内で要約して」 | 長い説明文の短縮 |
| 情報抽出 | 「このテキストから会社名だけを抽出して」 | 名刺データの整理 |
| 翻訳 | 「この文章を英語に翻訳して」 | 多言語対応業務 |
| スコアリング | 「このお問い合わせ内容の緊急度を1〜5で評価して」 | 問い合わせの優先度付け |
| データ補完 | 「この人名から想定される性別を推定して」 | データの欠損値補完 |
COPILOT関数を使うための準備
利用条件の確認
COPILOT関数を使うには、以下の条件を満たしている必要があります。
- Microsoft 365のサブスクリプションに加入していること(買い切り版ExcelではNG)
- Copilot機能が有効なプラン(Microsoft 365 PersonalまたはFamily、もしくはCopilot Pro)に加入していること
- インターネット接続ができていること
- Excelのバージョンが最新版(2025年以降のアップデートが適用されていること)
⚠️ 注意①:COPILOT関数はまだ展開中の機能
2026年4月現在、COPILOT関数はMicrosoft 365のInsiderプログラム(先行リリース版)から一般向けに段階的に展開されています。お使いの環境によっては、まだ利用できない場合があります。Excelのバージョンを最新にアップデートして、COPILOT関数が使えるか確認してみましょう。
COPILOT関数の基本構文
=COPILOT(プロンプト, [入力データ])
- プロンプト:AIへの指示文(日本語で書いてOK)。文字列なのでダブルクォーテーション(” ”)で囲む
- 入力データ(省略可):AIに参照させたいセルやデータ範囲を指定する
プロンプトの中でセル参照を使いたい場合は、&記号でつなぎます。
=COPILOT("この文章をカテゴリ分けしてください:"&A2)
このように書くと、A2の内容をプロンプトに埋め込んでAIに送ることができます。
COPILOT関数の具体的な使い方(実践ガイド)
①アンケート・口コミを自動でカテゴリ分け
最もよく使われる用途が「カテゴリ分類」です。たとえば、アンケートの自由回答を「満足度・要望・クレーム・その他」に分類する場合を見てみましょう。
- A列にアンケートの自由回答テキストを入力しておく
- B2セルに以下の数式を入力する
=COPILOT("次のアンケート回答を「満足」「不満」「要望」「その他」のどれかに分類してください。回答のみ返してください:"&A2)
- Enterを押すとB2に「満足」「不満」などのカテゴリが表示される
- B2の数式をB3以降にコピーすれば、全行が自動でカテゴリ分類される
100件のアンケートでも、数式を1つ書いてコピーするだけで全件処理が完了します。手作業だと数時間かかる作業が、数分で終わります。
②口コミの感情分析(ポジティブ・ネガティブ判定)
- A列に口コミや顧客コメントのテキストを入力しておく
- B2セルに以下の数式を入力する
=COPILOT("次の口コミがポジティブかネガティブかを判定してください。「ポジティブ」または「ネガティブ」のみ返してください:"&A2)
- B2に「ポジティブ」または「ネガティブ」が返ってくる
- さらにC2に
=COUNTIF(B:B,"ポジティブ")を入力すると、ポジティブ件数を自動集計できる
③長い文章の自動要約
- A列に要約したい長文テキストを入力する(メールの本文・会議メモなど)
- B2セルに以下の数式を入力する
=COPILOT("次の文章を30文字以内で要約してください:"&A2)
- B2に短く要約された文章が表示される
「30文字以内」のように文字数を指定することで、一覧表に収まるサイズに整えることができます。
⚠️ 注意②:プロンプトは「出力形式を指定」するとより精度が上がる
「カテゴリ分けしてください」と書くだけでは、AIが「この内容は”食品”カテゴリです」のような文章を返すことがあります。「”食品”とだけ返してください」「選択肢の中から1つだけ選んで返してください」のように出力形式を明確に指定すると、より使いやすい結果が得られます。
④テキストから特定情報を抽出
- A列に名刺のテキストデータや混在する情報を入力する
- B2セルに会社名抽出用の数式を入力する
=COPILOT("次のテキストから会社名だけを抽出してください。見つからない場合は「不明」と返してください:"&A2)
- B2に会社名のみが返ってくる
- C2には担当者名、D2には電話番号など、列ごとに異なる情報を抽出できる
COPILOT関数を使う際の3つの注意点

- ⚠️ 注意①:処理に時間がかかる場合がある
COPILOT関数はAIをクラウドで呼び出すため、通常の計算関数(SUM・AVERAGEなど)と比べて処理時間がかかります。特に大量のデータ(1000行以上)を一度に処理する場合は、Excelの動作が重くなることがあります。大量処理の場合は少しずつ実行しましょう。 - ⚠️ 注意②:同じ入力でも結果が変わる場合がある
AIは生成系であるため、同じ入力に対して毎回まったく同じ結果を返すとは限りません。特に判断が難しいケース(境界線上のカテゴリ分類など)では、結果がブレる場合があります。重要な判断に使う場合は、人による最終確認を行うようにしましょう。 - ⚠️ 注意③:APIコスト・利用制限に注意
COPILOT関数はAIを使うため、利用量によってはMicrosoft 365のCopilotクレジットを消費する場合があります。大量処理を行う前に、ご自身のプランの利用制限を確認しておきましょう。
COPILOT関数の活用をさらに広げるコツ
コツ①:他の関数と組み合わせる
COPILOT関数は他の関数と組み合わせることで、さらに強力になります。
| 組み合わせ | 例 | 効果 |
|---|---|---|
| COPILOT + COUNTIF | カテゴリ分けした結果を集計 | カテゴリ別の件数を自動集計 |
| COPILOT + IF | ネガティブな口コミだけを抽出 | 問題のある意見を自動フラグ |
| COPILOT + FILTER | AI判定結果でデータを絞り込み | 条件に合うデータだけを表示 |
| COPILOT + SORT | AI評価スコアでデータを並び替え | 優先度順に自動ランキング |
コツ②:プロンプトをセルに書いておく
長いプロンプトは、別のセル(例:Z1セル)に書いておき、COPILOT関数からそのセルを参照すると管理しやすくなります。
=COPILOT($Z$1, A2)
こうすることで、プロンプトを1か所変更するだけで全行の処理内容を一括変更できます。
コツ③:出力形式をきっちり指定する
「はい/いいえ」「1〜5の数字」「選択肢の中から1つ」のように、返ってくる形式をプロンプトで明確に指定することで、後からCOUNTIFやIFなどの関数で処理しやすくなります。
| △曖昧な指示 | ○明確な指示 |
|---|---|
| この内容を分類して | 「食品」「日用品」「衣類」のどれか1つの単語だけを返してください |
| ポジネガ判定して | 「ポジティブ」か「ネガティブ」のどちらか1語だけを返してください |
| 評価して | 1から5の数字(整数)だけを返してください |
| 📖 関連記事:Excel Copilotの基本的な使い方を学ぼう |
|---|
| Excel Copilotの使い方完全ガイド|日本語で指示するだけでAIが自動分析【2026年版】 COPILOT関数の前にまずCopilotチャット機能の基本をおさらいしたい方はこちら。 |
よくある質問(Q&A)
Q1. COPILOT関数は今すぐ使えますか?
A. 2026年4月現在、COPILOT関数はMicrosoft 365のInsiderプログラムから一般向けに段階的に展開中です。Microsoft 365 PersonalまたはFamilyプランに契約し、Excelを最新版にアップデートした上で使えるか試してみてください。まだ使えない場合は、Microsoftのアップデートが順次配信されるまで待ちましょう。
Q2. COPILOT関数とCopilotチャットは何が違うの?
A. CopilotチャットはExcelの右側に開くAIチャット画面で、会話しながらデータを分析・操作するものです。一方COPILOT関数はセルに直接入力する「関数」で、大量のデータを一括で自動処理できるのが最大の違いです。チャットは対話型・COPILOT関数は自動処理型と覚えておくと良いでしょう。
Q3. COPILOT関数の処理結果は保存されますか?
A. はい、数式が入ったセルはファイルに保存されます。ただし、ファイルを開き直すたびに関数が再計算される(AIが再度処理する)設定になっている場合があります。処理結果を固定したい場合は、結果が表示されたセルをコピーして「値のみ貼り付け(Ctrl+Shift+V)」で数式をなくしてから保存することをおすすめします。
Q4. 日本語と英語どちらで入力した方がいいですか?
A. 日本語でOKです。2025年以降のCopilot機能は日本語への対応が大幅に改善されました。ただし、複雑な指示や特殊な処理をさせる場合は英語の方が精度が上がることもあります。まず日本語で試してみて、結果が期待外れの場合は英語でも試してみましょう。
Q5. どんな業務に一番向いていますか?
A. COPILOT関数が最も効果を発揮するのは、「大量のテキストデータを一定のルールで分類・整理する」作業です。具体的には、アンケート集計・問い合わせ分類・商品マスタ整理・顧客コメントの感情分析などが挙げられます。逆に、数値計算はSUMやAVERAGEの方が速くて確実なので、用途に合わせて使い分けるのがベストです。
ぶっちゃけこうした方がいい!
COPILOT関数を使い始めた方に、経験からのアドバイスをお伝えします。
① まずは小さいデータで試す
いきなり1000行のデータにCOPILOT関数を適用しようとすると、処理が重くてExcelが固まる場合があります。まずは10〜20行の小さいデータで試して、プロンプトと結果の精度を確認してから、大量処理に進みましょう。
② プロンプトは「テンプレート」として管理する
業務で繰り返し使うCOPILOT関数のプロンプトは、Excelの別シートや別セルにまとめておくと便利です。チームで共有するときも、プロンプトを標準化しておくと、誰が使っても同じ品質の結果が得られます。
③ AIの判定結果は「参考値」として使う
COPILOT関数の結果は非常に参考になりますが、完璧ではありません。特に「感情分析」や「カテゴリ分類」は、AIでも判断が難しいケースがあります。重要な意思決定に使う場合は、AIの判定結果+人の最終確認、という流れで運用するのがベストプラクティスです。
COPILOT関数は使い方次第で業務の生産性を劇的に向上させてくれます。まずは一番困っている「手作業の仕分け作業」から試してみてください。
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