Windows 11 のエクスプローラーを開いても、いつものNAS(ネットワーク上のハードディスク)が「ネットワーク」の一覧に出てこない、あるいはクリックしても開けずにエラーが出る。こうしたトラブルは、Windows 11 に買い替えたあとや、大きな更新(アップデート)のあとに急に起きることがよくあります。
じつはその多くは、NASが壊れたわけではなく、Windows 11 側のセキュリティ設定が新しくなったことが原因です。とくに近年の Windows 11 は、パスワードなしで共有につなぐ「ゲスト接続」を安全のために標準でブロックするようになったため、以前は見えていたNASが突然表示されなくなる、という現象が増えています。
このページでは、まず「どこでつまずいているのか」を切り分けたうえで、原因ごとの対処を順番に解説します。あなたの症状に当てはまるところから読み進めれば、初心者の方でも落ち着いて解決できるように構成しています。
はじめに原因を切り分ける
やみくもに設定を変える前に、まず「パソコンとNASがそもそもつながっているか」を確認すると、遠回りせずに済みます。一覧に出てこないだけなのか、それとも通信そのものが届いていないのかで、対処が大きく変わるからです。
いちばん確実なのは、エクスプローラーの一覧を探すのではなく、NASのIPアドレスを直接入力してアクセスする方法です。エクスプローラーのアドレスバー(上部の場所を表示する横長の欄)に、円記号2つに続けてNASのIPアドレスを入力します。たとえば \\192.168.1.10 のように入力してEnterキーを押します。
- タスクバーのフォルダーのアイコンからエクスプローラーを開きます。
- 上部のアドレスバーをクリックし、
\\NASのIPアドレス(例\\192.168.1.10)と入力してEnterキーを押します。 - フォルダーが開けば通信は届いています。エラーが出る場合は、その文面をメモしておくと次の対処の手がかりになります。

NASのIPアドレスは、NAS本体の画面や、メーカーの設定用アプリ、あるいはルーターの管理画面にある「接続機器の一覧」で確認できます。IPアドレスで開けるのに一覧に出ないだけなら、後述の「ネットワーク探索」の問題です。IPアドレスを入れても開けない場合は、通信経路そのものを次のように確認します。
スタートの横の検索から「コマンドプロンプト」を開き、ping 192.168.1.10 のようにNASのIPアドレスを入力してEnterキーを押します。「応答」が返ってくれば通信は生きています。「タイムアウト」や「到達できません」と出る場合は、LANケーブルの抜けや、パソコンとNASが別々のネットワーク(別のWi-Fiやルーター)につながっている可能性が高いので、まず物理的な接続とネットワークをそろえてください。なお、pingが通っても共有だけ開けないこともあります(通信そのものは届いていても、ファイル共有で使うポート445が塞がれている、署名が合わないなど)。その場合は下の各対処へ順に進んでください。
ネットワークプロファイルがパブリックになっている
Windows 11 は、接続しているネットワークを「パブリック(公共)」と「プライベート(自宅など信頼できる場所)」の2種類に分けて扱います。喫茶店や駅などの共有ネットワークで勝手に見つけられないよう、パブリックのときはネットワーク上の機器の検出が強く制限されます。自宅なのにパブリックになっていると、NASが表示されない原因になります。
- 「設定」を開き、左の「ネットワークとインターネット」を選びます。
- 今つないでいる接続(「Wi-Fi」または「イーサネット」)をクリックします。
- 「ネットワーク プロファイルの種類」の項目で「プライベート ネットワーク」を選びます。

自宅やオフィスなど、自分が管理している信頼できる回線のときだけプライベートにしてください。外出先の公共Wi-Fiではパブリックのままにしておくのが安全です。
ネットワーク探索が無効になっている
ネットワーク上の機器を見つけて一覧に表示する機能をネットワーク探索といいます。これがオフだと、NASが動いていてもエクスプローラーの「ネットワーク」に出てきません。Windows 11(22H2以降)では、次の場所でオンにします。
- 「設定」→「ネットワークとインターネット」を開きます。
- 下のほうにある「ネットワークの詳細設定」をクリックします。
- 「共有の詳細設定」をクリックします。
- 「プライベート ネットワーク」の欄で「ネットワーク探索」のスイッチをオンにします。あわせて「ファイルとプリンターの共有」もオンにしておくと確実です。

設定アプリの表示が見当たらないときは、昔からある「コントロールパネル」からも同じ設定にたどり着けます。コントロールパネルを開き、「ネットワークと共有センター」→左側の「共有の詳細設定の変更」と進むと、同じ「ネットワーク探索」の項目があります。
安全でないゲスト ログオンがブロックされている
ここが、最近の Windows 11 でいちばん多い原因です。まず結論からお伝えすると、ほとんどのケースは、NAS側にユーザー名とパスワードを設定し、Windowsからその資格情報で接続すれば安全に直ります。なぜそれが最善なのか、理由を順にご説明します。
パスワードを設定していない共有に、名前も合言葉もなしで入る接続方法を「ゲスト ログオン」と呼びます。セキュリティ上とても危険なため、マイクロソフトはこの安全でないゲスト ログオンを標準でブロックするようになりました。公式ドキュメントには、Windows 11 の新しいビルドについて『guest credentials can’t be used to connect to a remote share by default, even if requested by the remote server.』(=サーバー側が求めても、既定ではゲストの資格情報で共有に接続できない)と明記されています。
この状態でパスワードなしのNAS共有を開こうとすると、「共有フォルダーにアクセスできません。組織のセキュリティ ポリシーによって、認証されていないゲスト アクセスがブロックされているためです。」といった権限系のメッセージが出て弾かれます。さらに Windows 11 24H2 の Pro/Enterprise/Education では、SMB署名(通信の改ざんを防ぐ仕組み)が既定で必須になったため(Homeは対象外)、署名に対応していない古いNASはなおさらつながりにくくなっています。
そこで、いちばん安全でおすすめの解決策が、NAS側にユーザー名とパスワードを設定して接続することです。NASの管理画面でアクセス用のユーザーを作り、Windowsからはそのユーザー名とパスワードでサインインします。こうすれば、危険なゲスト接続を許可せずに、以前と同じようにNASを使えるようになります。

どうしてもパスワードを設定できない古い機器のために、ゲスト接続を解禁する設定自体は残されています。Pro版はグループ ポリシー エディター(gpedit.msc)で「コンピューターの構成」→「管理用テンプレート」→「ネットワーク」→「Lanman ワークステーション」の中の『Enable insecure guest logons』を「有効」に、Home版はレジストリで HKLM\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\LanmanWorkstation\Parameters に AllowInsecureGuestAuth(DWORD値)を 1 で作成します。ただし Windows 11 24H2 の Pro/Enterprise/Education では既定でSMB署名が必須のため、これだけでは接続が直らないことが多いのが実情です。公式(Control SMB signing behavior)にも『Requiring SMB signing also disables guest access to shares. In these cases, you must disable SMB signing manually to restore access for guest accounts.』とあり、ゲストを使うには署名まで無効化する必要があります。これはセキュリティを二重に下げる操作で、盗聴・なりすまし・ランサムウェア感染の危険が大きくなります。この危険な回避策には踏み込まず、NAS側にユーザー名とパスワードを設定する正攻法が、唯一の現実的で安全な解決策だとお考えください。
SMB 1.0/CIFS が無効になっている(古いNASの場合)
NASとパソコンがファイルをやり取りする言葉づかいを「SMB」といい、古い順にSMB1・SMB2・SMB3があります。かなり古いNASは、いちばん古いSMB 1.0/CIFS でしか話せないことがあります。ただし現行の Windows 11 では SMB 1.0/CIFS は既定で撤去されており、一定期間使われないと自動的にアンインストールされるため、下記の「Windowsの機能」の一覧に項目そのものが無い環境もあります。項目が見当たらない場合は無理に復活させず、まずはNASのファームウェアを更新してSMB2以降に対応させることを最優先してください。どうしても古すぎてSMB2以降に対応できない機種のときだけ、最終手段として次の手順でSMB 1.0 を有効化します。
- コントロールパネルを開き、「プログラム」→「Windowsの機能の有効化または無効化」をクリックします。
- 一覧の中から「SMB 1.0/CIFS ファイル共有のサポート」を探し、チェックを入れます。
- 「OK」を押し、案内に従ってパソコンを再起動します。

SMB 1.0 は世界的な攻撃の入り口になった実績がある、古くて弱い方式です。有効にしたあとも、可能になりしだいNASのファームウェア(本体ソフト)を更新してSMB2以降に切り替えることを強くおすすめします。
古い資格情報が残っていて認証に失敗する
以前つないだときのユーザー名やパスワードを Windows が覚えていて、その情報が今のNASと食い違っていると、正しいパスワードを入れても接続に失敗し続けることがあります。この場合は、保存された古い情報を一度消して入れ直します。
- コントロールパネルを開き、「ユーザー アカウント」→「資格情報マネージャー」をクリックします。
- 「Windows 資格情報」を選び、一覧の中からNASのIPアドレスや名前が入った項目を探します。
- その項目を開いて「削除」します。次にNASへアクセスするときに、正しいユーザー名とパスワードを入力し直します。

入力し直すときに「資格情報を記憶する」にチェックを入れておくと、次回から自動で接続できるようになります。
それでも解決しないときはNAS側とメーカーを確認する
ここまでの Windows 側の対処で直らない場合は、NAS本体の設定を見直します。多くのNASは、パソコンのブラウザにNASのIPアドレスを入力すると管理画面が開きます。確認したいのは、主に対応SMBバージョンと共有フォルダーのアクセス権です。
NAS管理画面で見るポイントは主に2つです。まず「ファイル共有」や「SMB」の設定で、対応する最大バージョンがSMB2またはSMB3になっているかを確認します。あわせて、共有フォルダーに対して、あなたのユーザーに読み書きの許可が与えられているかもチェックします。設定項目の名称や場所は、Synology・Buffalo・IODATA・QNAP などメーカー・機種によって大きく異なります。うまく見つからないときは、お使いのメーカー名と「SMB」を組み合わせて検索し、必ずそのメーカーの公式サポートページや取扱説明書を確認してください。
下の表は、これまでの対処を症状別に整理したものです。自分の状況に近い行から試すと効率的です。
| 症状 | まず疑う原因 | 対処の見出し |
|---|---|---|
| IPアドレスでも開けない | 通信が届いていない | はじめに原因を切り分ける |
| IPでは開けるが一覧に出ない | ネットワーク探索がオフ | ネットワーク探索が無効 |
| 権限がないと出て弾かれる | ゲスト接続のブロック | 安全でないゲスト ログオン |
| 正しいID・PWでも弾かれる(24H2 Pro) | SMB署名が必須で古いNASが非対応 | 安全でないゲスト ログオン(NASにID・PW設定) |
| 古いNASだけ出てこない | SMB 1.0 が無効 | SMB 1.0/CIFS が無効 |
| 正しいパスワードでも失敗 | 古い資格情報の残存 | 古い資格情報が残っている |
よくある質問
Q1 NASのIPアドレスがわかりません。どこで確認できますか
NAS本体の液晶画面や、メーカーが用意している設定用アプリで確認できます。見当たらないときは、ルーターの管理画面にログインし、「接続機器の一覧」や「DHCPクライアント一覧」を開くと、つながっている機器の名前とIPアドレスが表示されます。NASの名前(メーカー名や型番に近い表記)を目印に探してください。
Q2 ゲスト接続を許可する設定をしても大丈夫ですか
おすすめしません。ゲスト接続は、悪意のある偽のサーバーへ気づかずつながされたり、通信を盗み見られたりする危険があり、公式も既定で無効にしています。基本は、NAS側にユーザー名とパスワードを設定して接続する方法をとってください。ゲスト接続の解禁は、パスワード設定が不可能な古い機器のための、あくまで最終手段と考えましょう。
Q3 SMB 1.0 を有効にしたままにしても平気ですか
常時有効のままにするのはおすすめできません。SMB 1.0 は過去に大規模な被害を出した攻撃の入り口になった、古くて弱い方式です。まずはNASのファームウェアを更新してSMB2以降で使えないかを確認し、どうしても対応できない機種のときだけ、割り切って使うようにしてください。
まとめ
Windows 11 でNASが表示されないときは、①IPアドレスで直接開けるか切り分ける、②ネットワークプロファイルをプライベートにする、③ネットワーク探索をオンにする、④パスワードなしのゲスト接続がブロックされていないか(=NASにユーザー名とパスワードを設定する)、⑤古いNASならSMB 1.0、⑥古い資格情報の削除、の順に見ていくと、多くの場合は原因にたどり着けます。とくに近年は、NASにユーザー名とパスワードを設定して安全につなぐ方法が、いちばん確実で安心な解決策です。上の症状別の表を手がかりに、当てはまるところから一つずつ試してみてください。
設定の途中でどうしても分からなくなったときは、無理に危険な設定を進めず、いったん立ち止まってプロに相談するのも安全な選び方です。
お使いのNASの機種や画面の様子を教えていただければ、どの対処から試すとよいかを一緒に整理します。文章のやり取りだけでも大丈夫なので、下記の公式LINEから気軽にご相談ください。
NASにつながったら、毎回開くのが面倒な方はNASをネットワークドライブに割り当てる方法で、Zドライブとして固定して使う手順も参考にしてください。
(最終確認日 2026年7月)


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