Outlookのメールや連絡先を新しいパソコンへ移したい、もしものときに備えてバックアップを取っておきたい…そんなときに使うのがエクスポート機能です。ただ、ひとことで「エクスポート」と言っても、メール本体を丸ごと保存したいのか、連絡先だけ取り出したいのか、署名やルールといった設定まで含めたいのかで、やり方も「できること・できないこと」も変わってきます。ここを混同したまま進めて「設定まで一括で移せると思っていたのに移っていなかった」とつまずく方が本当に多いです。
この記事では、まず何をエクスポートしたいのかをはっきりさせたうえで、現在主流のクラシックOutlookでの正確な手順、そして見落としやすい「新しいOutlook(Windows)では一部できないこと」までをまとめます。情報はMicrosoft公式の最新の記述で裏取りしています。
エクスポートする前に決めること
Outlookで「エクスポート(バックアップ)したいもの」は、大きく分けて次の3つです。どれを残したいかで手順が変わるので、まずは自分の目的を確認してください。一覧にすると、可否の違いがはっきりします。
| 残したいもの | 方法 | 一括で取れる? |
|---|---|---|
| メール本体・連絡先・予定表 | PSTファイルにエクスポート | 取れる(クラシックOutlook) |
| 連絡先(アドレス帳)だけ | PST、またはCSVで個別に書き出し | 取れる |
| 署名 | 専用フォルダーを手動でコピー | ×(エクスポート機能なし) |
| 仕分けルール | ルールファイル(.rwz)で書き出し | △(ルール単独で可) |
| アカウント設定(サーバー名など) | 画面をメモ・スクリーンショット | ×(暗号化のため不可) |
ポイントは、Outlookには「設定もデータもまとめて一発で書き出す」ボタンは無いということです。メールや連絡先はPSTファイルにまとめられますが、署名・ルール・アカウント設定はそれぞれ別の方法で控えておく必要があります。この前提を知らずに「PSTを取ったから全部移せる」と思い込むと、移行先で署名が空っぽ、ということが起こります。
メールや連絡先をPSTファイルにエクスポートする手順
メール本体・連絡先・予定表をまとめて保存したいときは、PST(.pst)という形式のファイルに書き出します。これがいわゆる「Outlookのバックアップファイル」です。デスクトップ版のクラシックOutlook(Microsoft 365 / Outlook 2024・2021・2019・2016)での手順は次のとおりです。
- Outlookを起動し、画面左上の「ファイル」をクリックします。
- 「開く/エクスポート」を選び、「インポート/エクスポート」をクリックします。
- ウィザードが開いたら「ファイルにエクスポート」を選んで「次へ」をクリックします。
- 「Outlook データ ファイル (.pst)」を選んで「次へ」をクリックします。
- 書き出したいフォルダーを選びます。すべて残したいときは、いちばん上のアカウント名を選び、「サブフォルダーを含む」にチェックを入れます。
- 「次へ」をクリックし、「参照」から保存先とファイル名を指定します。
- 「完了」をクリックすると書き出しが始まります。必要ならパスワードを設定できます。
でき上がったPSTファイルが、メール・連絡先・予定表をまとめたバックアップになります。連絡先(アドレス帳)だけをきれいに取り出したい、文字化けや件数の取りこぼしを避けたいという場合は、連絡先のエクスポートに特化した手順を別の記事で詳しくまとめています。あわせてOutlookでアドレス帳をエクスポートする完全手順を参考にしてください。
この手順はMicrosoft公式の「Outlook メールをバックアップする」のページに沿っています。元の説明を確認したいときは、下記の公式ページが出典です。
出典: Outlook メールをバックアップする(Microsoft サポート)
新しいOutlook(Windows)でできないこと
ここがいちばんつまずきやすいところです。最近のWindowsには、従来のクラシックOutlookとは別に「新しいOutlook」と呼ばれるアプリが入っていることがあります。見た目が似ているので気づきにくいのですが、エクスポートまわりの機能には差があります。Microsoft公式の記述をもとに、現時点(2026年6月)でできること・できないことを整理します。
- PSTファイルのインポート(読み込み)は、現時点では新しいOutlookでは使えません。受け取ったPSTを取り込みたいときはクラシックOutlookが必要です。
- PSTに保存された予定表・連絡先のアイテムは、新しいOutlookでは開いたり取り込んだりできません(対象はメールのみ)。新しいOutlookで「設定 > ファイル > エクスポート」を使う場合も、書き出せるのはメール中心で予定表・連絡先は対象外です。
新しいOutlookにも「設定 > ファイル > エクスポート」からPSTへ書き出す機能自体は用意されていますが、上のとおり取り込み(インポート)はできません。そのため、PSTを使ってデータを引っ越ししたい場合は、新しいOutlook側で「新しいOutlook」のトグルをオフにしてクラシックOutlookに戻し、先ほどの「ファイル > 開く/エクスポート > インポート/エクスポート」から作業するのが確実です。インポート手順はエクスポートとほぼ同じで、3で「他のプログラムまたはファイルからのインポート」を選び、「Outlook データ ファイル (.pst)」を指定して取り込みます。
出典: Export emails, contacts, and calendar items to Outlook using a .pst file(Microsoft サポート)
署名・ルール・アカウント設定をバックアップする方法
「設定ごと丸ごと移したい」という相談はとても多いのですが、残念ながらOutlookには署名やアカウント設定を一括でエクスポートする機能はありません。セキュリティの都合でパスワードなどは暗号化されており、そのまま書き出せないようになっているためです。とはいえ、要素ごとに控えておけば移行はきちんとできます。私は情報システムの仕事で何度もパソコンの入れ替えに立ち会ってきましたが、つまずくのはたいていこの3点なので、順番に押さえておくと安心です。
署名は、エクスポートではなくフォルダーごとコピーします。エクスプローラーのアドレス欄に %appdata%\Microsoft\Signatures と入力すると署名の保存先が開くので、中身を新しいパソコンの同じ場所へコピーします。なお、新しめのMicrosoft 365アカウントでは署名がクラウド側に保存され、同じアカウントでサインインすると自動で引き継がれることがあります。その場合はフォルダーが空に見えたり、コピーが不要だったりするので、まずは新しいパソコンで署名が出ているか確認してください。仕分けルールは、クラシックOutlookの「ファイル > ルールと通知の管理」を開き、「オプション」から「ルールのエクスポート」を選ぶと、ルールを .rwz という形式のファイルに書き出せます。新しいパソコンの同じ画面で「ルールのインポート」を選べば復元できます。アカウント設定(サーバー名やポート番号など)は書き出せないので、設定画面を開いて内容をスクリーンショットやメモで残しておきましょう。
PSTファイルの保存先とよくある落とし穴
PSTファイルは数GBになることも珍しくありません。容量に余裕のある場所に保存し、できれば外付けドライブなどにもう一部控えておくと安心です。ここで一番気をつけたいのが保存先です。
Microsoft公式は、PSTファイルをOneDrive上のフォルダーに保存しないようはっきり注意しています。OneDriveはPSTファイルの自動同期をブロックする仕様のため、OneDrive配下に置くと同期エラーや動作不良の原因になります。自動同期がOneDriveに向いていないか確認し、PSTはパソコン本体のローカルドライブか外付けドライブに保存してください。これは見落としやすいわりに、後から「同期がずっと終わらない」とトラブルになりやすいポイントです。
よくある質問
エクスポートしたPSTファイルを新しいパソコンに取り込むには
クラシックOutlookの「ファイル > 開く/エクスポート > インポート/エクスポート」から取り込めます。「他のプログラムまたはファイルからのインポート」を選び、「Outlook データ ファイル (.pst)」を指定して読み込みます。新しいOutlookではインポートできない点に注意してください。
エクスポートしたデータにメール以外も含まれますか
はい、選んだフォルダーに応じて、メールのほか連絡先・予定表・タスクも一緒に保存できます。クラシックOutlookでアカウントごと選べば、まとめて残せます。
署名やアカウント設定もPSTに入りますか
いいえ、署名やアカウント設定はPSTには含まれないので、別々に控える必要があります。署名はSignaturesフォルダーをコピー、ルールは.rwzで書き出し、アカウント設定はメモで残しておきましょう。
新しいOutlookでもエクスポートできますか
書き出しは「設定 > ファイル > エクスポート」で可能ですが、取り込み(インポート)は現時点で非対応です。移行が目的なら、クラシックOutlookに切り替えて作業するのが確実です。
Outlookのエクスポートは、「メール・連絡先はPSTで」「署名・ルール・設定は別々に」という二段構えで考えるのがコツです。とくに新旧Outlookの違いと、OneDriveに保存しないという2点だけ押さえておけば、移行やバックアップで困ることはぐっと減ります。
uri uri(元情報システム部門・運用経験10年以上)
最終確認日 2026年6月


コメント