Excelのファイルを複数人で扱うとき、「メールで何度もやり取りして、どれが最新版か分からなくなる」「同じ表を二人で直したら片方の修正が消えていた」といった困りごとは、職場でも家庭でもよく起こります。これを防ぐのがExcelの「共同編集(きょうどうへんしゅう)」です。OneDriveやSharePointといったクラウドにファイルを置き、相手とリンクを共有すると、同じファイルを同時に開いて、お互いの修正をその場で見ながら作業できます。
この記事では、まず2026年現在の標準である「共同編集」のしくみと始め方を説明し、次にExcel 2019で使える従来型の「共有ブック(レガシ)」との違い、共有の解除のしかた、そして「共有できない・編集できない」といったよくあるつまずきの直し方まで、実際の画面で確認しながら順に解説します。お使いのExcelの種類(Microsoft 365かExcel 2019か)で画面が少し変わるため、その違いも都度ふれていきます。
そもそもExcelの「共同編集」とは何か
共同編集とは、クラウド(OneDriveやSharePoint)に保存した1つのExcelファイルを、複数の人が同時に開いて編集できる機能のことです。昔のように「ファイルをメールで送り合って、戻ってきたものを手作業でまとめる」必要がなくなり、全員が常に同じ最新の状態を見ながら作業できます。
共同編集には、大きく分けて次の3つの特徴があります。長く情報システムの部門で社内のExcel運用を見てきた経験から言うと、ここでつまずく方のほとんどは「ファイルをクラウドに置く」という最初の一歩を飛ばしているだけで、しくみ自体はとてもシンプルです。
| 特徴 | どういうことか |
|---|---|
| 同時に編集できる | 複数の人が同じファイルを同時に開いて入力できる。誰かが入力したセルは、ほぼ時間差なく相手の画面にも反映される(リアルタイム反映はMicrosoft 365とExcel for the webが得意) |
| 誰がどこを触っているか分かる | 編集中の人の名前や、その人が選んでいるセルの位置が色付きで表示され、作業の重複を避けやすい |
| 権限を分けられる | 相手ごとに「編集できる」「表示だけ」を選んで共有できるため、見てほしいだけの相手に勝手に直されない |
共同編集の始め方(OneDriveに保存して「共有」する)
共同編集は「クラウドに保存する」→「共有する」の2段階です。順にやれば難しくありません。まず、編集中のブックをOneDriveに保存します。
- 共同編集したいブックを開いた状態で、画面左上の「ファイル」をクリックします。
- 「名前を付けて保存」を選び、保存先として「OneDrive」(または会社の「OneDrive – 〇〇」やSharePointのサイト)を選びます。
- ファイル名を確認して「保存」をクリックします。これでファイルがクラウド上に置かれ、共同編集の準備が整います。
クラウドに保存できたら、次に相手を招待します。画面の右上にある「共有」ボタンを使います。

- 画面右上の「共有」ボタンをクリックします。
- 「リンクの送信」(環境によっては「ユーザーの招待」)という小さな画面が開きます。共有したい相手のメールアドレスを入力します。
- 相手に編集してほしいなら「編集可能」、見てもらうだけなら「表示可能」を選びます。この権限の切り替えは、入力欄の近くにある鉛筆やリンクの設定アイコンから変更できます。
- 必要ならメッセージを書き添えて「送信」をクリックします。相手にはファイルへのリンクがメールで届きます。
相手は届いたリンクを開くだけで、同じファイルを編集できます。Microsoft 365やExcel for the web(ブラウザ版Excel)では、相手が編集中のセルに相手の名前と色が付いて表示され、入力がほぼその場で反映されます。Excel 2019のデスクトップ版でも、OneDrive上のファイルなら共同編集に参加できますが、反映のされ方や見え方はMicrosoft 365より控えめになることがあります。
Excel 2019の「共有ブック(レガシ)」について
ここまで説明した「共同編集」は、クラウドを前提にした新しいしくみです。一方で、Excelには昔から「共有ブック」という別の機能もあります。これはクラウドを使わず、社内の共有フォルダーなどに置いたファイルを複数人で開けるようにする古い方式で、現在は「共有ブック(レガシ)」と呼ばれています。Microsoftは制限が多いことから、これに代わる機能として共同編集を用意しました。
社内サポートをしていたころ、「昔の手順書どおりに『校閲』タブを開いても『ブックの共有』ボタンが見当たらない」という相談をよく受けました。これは故障ではなく、Excel 2019以降ではこのレガシ機能が標準のリボンから隠されているためです。どうしても使いたい場合は、クイックアクセスツールバー(画面のいちばん上にある小さなアイコンの列)に手動で追加します。
- 「ファイル」→「オプション」をクリックします。
- 左の一覧から「クイック アクセス ツール バー」を選びます。
- 「コマンドの選択」を「すべてのコマンド」に変え、一覧から「ブックの共有(レガシ)」を探してクリックし、「追加」を押して右側へ移します。
- 「OK」をクリックすると、画面上部のクイックアクセスツールバーにそのボタンが現れます。
共有・共同編集を解除する(やめる)方法
「もう共同作業は終わったので、これ以上は編集されたくない」というときは、共有を解除します。共同編集(クラウド型)の場合は、配ったリンクや相手のアクセス権を取り消すことで止められます。
- 対象のブックを開き、右上の「共有」ボタンをクリックします。
- 開いた画面で「アクセス許可の管理」(または相手の名前の横の「︙」メニュー)を開きます。
- 編集をやめさせたい相手の権限を「表示可能」に変えるか、「アクセス権の削除」を選んで共有そのものを取り消します。
- リンクで配っていた場合は、「リンクの設定」から該当のリンクを削除(無効化)すると、そのリンクではもう開けなくなります。
Excel 2019で「共有ブック(レガシ)」を使っていた場合の解除は、先ほど追加したボタン、または「校閲」タブの関連メニューから行います。解除すると、それまでの変更履歴が削除される点に注意してください。
うまくいかないときのチェックポイント
共同編集や共有でつまずいたときは、原因のほとんどが次のいずれかです。順番に確認すると、多くの場合は自分で解決できます。
| 症状 | よくある原因と対処 |
|---|---|
| 「共有」ボタンが押せない・反応しない | ファイルがまだクラウド(OneDrive/SharePoint)に保存されていない。先に「名前を付けて保存」でOneDriveへ保存する |
| 相手がリンクを開けない・編集できない | 権限が「表示可能」になっている、またはリンクが「特定のユーザー」限定で相手が含まれていない。共有画面で相手の権限を「編集可能」に変える |
| 「他のユーザーが編集中です」と出て保存できない | 古い形式や共有ブック(レガシ)特有の競合。少し待って再保存するか、クラウド型の共同編集に切り替える |
| 相手の入力がなかなか反映されない | インターネット接続が不安定、または全員が同じ形式(.xlsx等)・対応バージョンを使っていない。接続とファイル形式を確認する |
とくに多いのが、いちばん上の「ファイルをクラウドに保存していない」ケースです。デスクトップやUSBメモリーに置いたままのファイルは、いくら「共有」を押しても共同編集にはなりません。まずは保存先がOneDriveかSharePointになっているかを確認するのが、解決への近道です。
出典(Microsoft公式)
本記事の手順と用語は、2026年6月時点でMicrosoftが公開している以下の公式情報をもとに、実際の画面で名称を確認して作成しています。
| 内容 | Microsoft公式ページ |
|---|---|
| Officeファイルを共同編集する(共同編集の条件・始め方) | https://support.microsoft.com/ja-jp/office/office-ファイルを共同編集する-74a26c59-c59a-4d5f-8636-6918fcfcad7b |
| Officeドキュメントで共同作業を行う | https://support.microsoft.com/ja-jp/office/office-ドキュメントで共同作業を行う-ea3807bc-2b73-406f-a8c9-a493de18258b |
| 共有ブック機能について(レガシ機能の位置づけ) | https://support.microsoft.com/ja-jp/office/共有ブック機能について-49b833c0-873b-48d8-8bf2-c1c59a628534 |
| Excelの共有ブックはどうなっていますか?(共同編集との違い) | https://support.microsoft.com/ja-jp/office/excel-の共有ブックはどうなっていますか-150fc205-990a-4763-82f1-6c259303fe05 |
この記事は、元情報システム部門で10年以上にわたり社内パソコンの運用・サポートに携わってきた「uri uri」が、実際の画面で操作を確認しながら執筆しました。前述のとおり、共同編集でつまずく相談の大半は「ファイルをクラウドに置いていない」「『校閲』タブにレガシ機能が見当たらない」という2点に集約され、そのしくみさえ分かれば、あとは『共有』ボタンから順にたどるだけで解決できます。著者の詳しい経歴はプロフィールをご覧ください。
最終確認日:2026年6月



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