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Windows11のQuickMachineRecoveryをPro版で使う方法と設定手順を徹底解説

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「パソコンが突然起動しなくなった……」「ブルースクリーンが出て何もできない……」そんな冷や汗をかいた経験、ありませんか? とくにWindows11を使っている方なら、アップデート後のトラブルで朝から頭を抱えたことが一度はあるはずです。2024年7月にはCrowdStrikeの不具合で世界中の約850万台ものWindowsパソコンが一斉にダウンし、復旧に何日もかかったという衝撃的な事件がありました。あのとき「もっと簡単に直せる仕組みがあれば……」と感じたのは、IT管理者だけではなかったでしょう。

そこでMicrosoftが本気で開発したのが、Quick Machine Recovery(QMR)という新機能です。この記事では、Windows11のPro版でQuickMachineRecoveryを有効にして使いこなすための具体的な設定手順から、上級者向けのコマンド操作、2026年3月の最新アップデート情報まで、どこよりもわかりやすく丁寧に解説します。初心者の方でも迷わず設定できるように、ステップごとに噛み砕いて説明していきますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

ここがポイント!

  • QuickMachineRecoveryはWindows11が起動できないときにクラウド経由で自動修復してくれる画期的な機能である
  • 2026年3月のアップデートでPro版にもデフォルト有効化され、設定画面とコマンドラインの両方から細かく制御できる
  • テストモードで安全に動作確認でき、CrowdStrikeのような大規模障害にも即座に対応可能になる
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  1. そもそもQuickMachineRecoveryとは何なのか?
    1. QMRが生まれた背景にあるCrowdStrike事件
  2. QMRの2つの柱「クラウド修復」と「自動修復」を理解しよう
  3. Windows11Pro版でQMRを有効にする具体的な手順
    1. 設定アプリから有効にする方法
    2. コマンドラインから詳細設定する方法(上級者向け)
  4. QMRのテストモードで安全に動作確認する方法
  5. 2026年3月のアップデートで何が変わったのか?
  6. QMRを使ううえで知っておくべき注意点と制限事項
  7. 企業のIT管理者向けのIntuneによるQMR管理
  8. QMRが実際に動くときの流れを詳しく知ろう
  9. 情シス歴10年超の現場視点で語るQMR導入前の「やっておかないと詰む」準備
    1. WinREの状態を一発で診断するPowerShellスクリプト
  10. 現場で本当に多いトラブル「WinREが壊れていてQMRが使えない」の直し方
    1. winre.wimが消失した場合の復旧手順
  11. BitLocker回復キーを「今すぐ」バックアップすべき理由と具体的な方法
    1. PowerShellで今すぐ回復キーをテキストファイルに保存する方法
  12. 回復パーティションが小さすぎてQMRが失敗する問題の対処法
    1. DiskPartを使って回復パーティションを拡張する手順
  13. 知っておくと絶対に役立つQMR関連のPowerShellコマンド集
  14. 現場でよくある「QMRが動かない」トラブルと泥臭い解決法
    1. 会社のWi-Fiがキャプティブポータル方式でQMRがネットに繋がらない
    2. Secure Bootの証明書期限切れ問題に注意
    3. BIOS更新後にBitLockerが回復キーを要求してパニックになるケース
  15. USB回復メディアは「最後の砦」として必ず作っておくべき
  16. QMR時代に合わせたWindowsバックアップ戦略の最適解
  17. ぶっちゃけこうした方がいい!
  18. Windows11のQuickMachineRecoveryに関する疑問解決
    1. QMRを使うにはインターネット接続が必要ですか?
    2. QMRを使うとデータは消えてしまいますか?
    3. Pro版やEnterprise版でQMRを無効にすることはできますか?
    4. 古いパソコンでもQMRは使えますか?
  19. 今すぐパソコンやスマホの悩みを解決したい!どうしたらいい?
  20. まとめ

そもそもQuickMachineRecoveryとは何なのか?

Windowsのイメージ

Windowsのイメージ

QuickMachineRecovery(以下QMR)は、Windows11 バージョン24H2以降に搭載されたクラウドベースの自動復旧機能です。従来のスタートアップ修復をベースにしつつ、そこにインターネット接続とWindows Updateの力を組み合わせることで、これまでとはまったく次元の違う復旧体験を実現しています。

もう少しかみ砕いて説明しましょう。たとえばWindows11のアップデートを適用した直後にパソコンが起動しなくなったとします。従来であれば、USBの回復メディアを用意するか、セーフモードに入って手動で問題のあるファイルを削除するか、最悪の場合はOSを再インストールするしかありませんでした。IT管理者なら何百台、何千台のパソコンを一台ずつ手作業で直さなければならず、膨大な時間と労力がかかっていたわけです。

QMRが登場したことで、この流れが根本的に変わりました。パソコンが2回以上連続で起動に失敗すると、自動的にWindows回復環境(WinRE)に入ります。そこからインターネットに接続し、Microsoftのクラウドサーバーに診断データを送信して、既知の問題に合致する修正プログラムがあれば自動でダウンロードして適用してくれるのです。ユーザーがやることはほぼ何もありません。パソコンが勝手に自分を治してくれる、そんなイメージです。

QMRが生まれた背景にあるCrowdStrike事件

QMRの開発が本格化した背景には、2024年7月19日に発生したCrowdStrikeのセキュリティソフト障害があります。この日、CrowdStrike Falconというセキュリティソフトの設定ファイルに不具合があり、世界中のWindowsパソコンが一斉にブルースクリーンに陥りました。影響を受けた台数は約850万台といわれ、航空会社や銀行、病院など社会インフラにまで深刻な打撃を与えました。

復旧には手作業で一台ずつ対処する必要があり、企業によっては5日以上もかかったケースがあったと報告されています。Microsoftのサティア・ナデラCEOは同年11月のIgnite 2024でこの問題に触れ、「Windowsレジリエンスイニシアチブ」の一環としてQMRの開発を正式に発表しました。つまりQMRは、あの悪夢のような出来事を二度と繰り返さないという強い決意から生まれた機能なのです。

QMRの2つの柱「クラウド修復」と「自動修復」を理解しよう

QMRにはクラウド修復(Cloud Remediation)自動修復(Auto Remediation)という2つの核となる仕組みがあります。この2つの違いを正しく理解しておくと、自分の環境に合った最適な設定ができるようになります。

クラウド修復は、回復環境からインターネットに接続してWindows Updateを通じて修正プログラムを探す仕組みです。有効にすると、起動障害が発生したときにパソコンが自動でネットワークにつながり、Microsoftのサーバーからテレメトリデータやクラッシュログ、更新履歴などの診断情報を照合して解決策を見つけます。無効にした場合は、従来どおりローカルのスタートアップ修復だけで対処することになります。

自動修復はその名のとおり、修復プロセス全体を自動化する機能です。クラウド修復だけを有効にした場合は、ユーザーがWinREの画面でQuick Machine Recoveryの項目をクリックする操作が必要です。しかし自動修復も合わせて有効にしておけば、ユーザーもIT管理者も一切操作することなくパソコンが勝手に修復を試みます。最初のスキャンで解決策が見つからなかった場合も、設定した間隔で再試行を繰り返してくれるので、Microsoftが修正プログラムを配信するまで待機しつつ自動的に適用してくれます。

設定項目 Home版の初期状態 Pro版の初期状態(2026年3月以降) Enterprise/Education版の初期状態
クラウド修復 有効 有効(非管理デバイスのみ) 無効
自動修復 無効 無効 無効

上の表のとおり、エディションによって初期設定が異なります。とくに注目すべきなのは2026年3月のアップデートで、Pro版でもドメインに参加していない非管理デバイスに対してクラウド修復がデフォルトで有効化されるようになったことです。これは大きな変化で、個人でPro版を使っているユーザーは特別な設定をしなくてもQMRの恩恵を受けられるようになりました。

Windows11Pro版でQMRを有効にする具体的な手順

ここからは実際にQuickMachineRecoveryを有効にする方法を、設定アプリからの操作とコマンドラインからの操作の2通りで解説します。パソコンに詳しくない方は設定アプリからの方法を、IT管理者や上級者の方はコマンドラインの方法をおすすめします。

設定アプリから有効にする方法

もっとも手軽な方法が、Windows11の設定アプリを使うやり方です。マウス操作だけで完結するので、初心者の方でも安心して進められます。

  1. スタートメニューから「設定」を開くか、キーボードの
    Windowsキー + I

    を同時に押して設定アプリを起動します。

  2. 左側のメニューから「システム」を選択し、右側に表示される項目を下にスクロールして「回復」をクリックします。
  3. 回復ページの一番下あたりに「Quick machine recovery」という項目が表示されるので、それを選択します。
  4. 「Quick machine recovery」のトグルスイッチをオンにします。これでクラウド修復が有効になります。
  5. さらに「解決策が見つからない場合も検索を続ける」というオプションが選択可能になるので、これもオンにすると自動修復が有効になります。

たったこれだけの操作で設定は完了です。なお、この設定画面が表示されない場合は、Windows11のバージョンが24H2(ビルド26100.4700)以降になっているか確認してください。古いバージョンではQMRに対応していないため、まずはWindows Updateで最新の状態にアップデートする必要があります。

コマンドラインから詳細設定する方法(上級者向け)

企業環境や複数台のパソコンを管理している場合は、XMLファイルとコマンドラインを使った方法がより実用的です。Wi-Fiの接続情報を事前に設定しておいたり、再試行の間隔やタイムアウト時間を細かく指定できたりと、設定アプリにはない柔軟さがあります。

まず、以下のようなXMLファイルを作成してください。メモ帳などのテキストエディタで新規ファイルを開き、次の内容を記述して

settings.xml

として保存します。

<?xml version='1.0' encoding='utf-8'?>
<WindowsRE>
  <WifiCredential>
    <Wifi ssid="あなたのSSID" password="あなたのパスワード" />
  </WifiCredential>
  <CloudRemediation state="1" />
  <AutoRemediation state="1" totalwaittime="2400" waitinterval="120"/>
</WindowsRE>

このXMLファイルでは、Wi-FiのSSIDとパスワードを指定し、クラウド修復と自動修復の両方を有効(state=”1″)にしています。totalwaittimeは自動修復の合計待機時間で、この例では2400分(40時間)に設定されています。waitintervalはスキャンの間隔で、120分(2時間)ごとに再試行する設定です。自社の運用ポリシーに合わせて、これらの数値を調整してください。

XMLファイルを保存したら、管理者権限のコマンドプロンプトまたはPowerShellを開いて、次のコマンドを実行します。

reagentc.exe /setrecoverysettings /path "C:\QMR\settings.xml"

パスの部分は、実際にsettings.xmlを保存した場所に合わせて変更してください。設定が正しく適用されたか確認するには、次のコマンドを実行します。

reagentc.exe /getrecoverysettings

このコマンドを実行すると、現在のQMR設定がXML形式で表示されます。クラウド修復のstate値が「1」になっていれば有効、「0」なら無効です。設定をすべて初期状態に戻したい場合は、

reagentc.exe /clearrecoverysettings

を実行してください。

QMRのテストモードで安全に動作確認する方法

「設定はしたけど、本当にちゃんと動くのか不安……」という方のために、Microsoftはテストモードを用意してくれています。テストモードを使えば、実際にパソコンを壊すことなくQMRの復旧プロセスをシミュレーションできるので、とても安心です。

テストモードの使い方は非常にシンプルです。管理者権限のコマンドプロンプトを開いて、次の2つのコマンドを順番に実行します。

まず、テストモードを有効化します。

reagentc.exe /SetRecoveryTestmode

このコマンドを実行すると、システムフォルダの

system32\recovery

内にRecoverySimulation.iniという設定ファイルが作成されます。このファイルには、CloudRemediationやAutoRemediationなどのフラグが含まれていて、実際に起動障害が起きたかのような状態をシミュレーションする準備が整います。

次に、WinREへの起動を指示します。

reagentc.exe /BootToRe

このコマンドで次回の再起動時にWindows回復環境に直接入るよう設定されます。あとはパソコンを再起動すれば、QMRのシミュレーションが始まります。パソコンはWinREに入り、ネットワークへの接続を試み、Windows Updateから修正プログラムを探すという一連のプロセスが実行されます。シミュレーションが正常に完了すれば、パソコンは通常どおりWindowsに戻ります。

テストが終わった後は、設定から「Windows Update」→「更新の履歴」を開いて、品質更新プログラムのセクションにQMR関連のログが記録されているかを確認しましょう。ここにログが残っていれば、QMRが正しく機能していることの証拠になります。もしMicrosoftにフィードバックを送りたい場合は、フィードバックHubを開いて「回復とアンインストール」カテゴリの「Quick Machine Recovery」から送信できます。

2026年3月のアップデートで何が変わったのか?

2026年3月10日にリリースされるPatch Tuesdayアップデート(プレビュー版はKB5077241として2月24日に配信済み)で、QMRに関して非常に重要な変更が加えられました。

最大の変更点は、Windows11 Pro版でQMRがデフォルトで有効化されるようになったことです。ただし対象となるのは、Active Directoryのドメインに参加しておらず、企業管理(Intune等)にも登録されていないデバイスに限られます。つまり、個人でPro版を使っている方や、小規模なオフィスで管理ソフトを使わずにパソコンを運用している方は、アップデートを適用するだけで自動的にQMRが使える状態になります。

もう一つの注目ポイントは、2025年11月から段階的にテストされてきたワンタイムスキャン方式が正式に採用されたことです。以前のバージョンでは自動修復が有効な場合に修正プログラムの検索がループ状に繰り返されていましたが、現在はデフォルトで1回のスキャンを実行するように変更されました。これにより、修復プロセスが効率化され、不必要なネットワーク通信やリソース消費が抑えられています。

さらに、2026年3月のIntuneリリースでは、Intuneの設定カタログでQMRの管理ポリシーが正式に使えるようになる予定です。これまで「Windows Insider限定」や「修正待ち」と表示されていた設定項目が解放されるため、企業のIT管理者にとっては待ち望んでいた改善といえるでしょう。

QMRを使ううえで知っておくべき注意点と制限事項

QMRは非常に便利な機能ですが、万能ではありません。事前に制限事項を理解しておくことで、いざというときに慌てずに対処できます。

まずネットワーク接続が必須です。QMRのクラウド修復はWindows Updateへの接続が前提なので、インターネットに接続できない環境では機能しません。対応しているネットワークは有線LAN(イーサネット)とWPA/WPA2のパスワード認証方式のWi-Fiに限られます。企業でよく使われるWPA-EnterpriseやキャプティブポータルつきのWi-Fiには現時点で対応していないので注意してください。

次に、WinREが正常に動作していることが大前提です。回復パーティションが破損していたり、WinREのイメージ(winre.wim)が欠損している場合、QMR自体が起動できません。日頃から

reagentc.exe /info

コマンドでWinREの状態を確認しておくことをおすすめします。「Windows RE の状態: Enabled」と表示されていれば正常です。

また、Microsoftも公式に認めているとおり、QMRはベストエフォート型の機能です。すべての起動障害を必ず修復できるわけではありません。Microsoftが把握している既知の問題に対する修正プログラムがWindows Updateに用意されている場合にのみ効果を発揮します。まだ報告されていない新しい問題や、ハードウェア的な故障が原因の場合は対処できないので、USBの回復メディアやバックアップは引き続き用意しておくべきです。

BitLockerを有効にしている方は、回復キーを必ず手元に保管しておいてください。QMRの復旧プロセス中にBitLockerの回復キーの入力を求められることがあります。回復キーがわからないとデータにアクセスできなくなる可能性があるため、MicrosoftアカウントやAzure AD、あるいは紙に印刷して安全な場所に保管しておくことが非常に重要です。

企業のIT管理者向けのIntuneによるQMR管理

大規模な組織でWindows11デバイスを管理している場合は、Microsoft Intuneを使ってQMRの設定を一括管理できます。IntuneのRemoteRemediation CSP(構成サービスプロバイダー)を使えば、クラウド修復と自動修復のオン・オフ、Wi-Fiの接続情報、スキャン間隔、タイムアウト時間などを組織のポリシーとして配布できます。

設定方法は、Intuneの管理センターで「設定カタログ」ポリシーを新規作成し、RemoteRemediationの項目を検索して追加するだけです。作成したポリシーを対象のデバイスグループまたはユーザーグループに割り当てれば、組織全体に統一されたQMR設定が適用されます。

2026年3月のIntuneリリース(2603)では、これまでプレビュー段階だった設定項目が正式に対応する見込みです。また、Windows Autopatchとの連携も進んでおり、QMRの更新プログラムの承認やスケジュール管理、アラート通知、レポート機能なども利用できるようになります。企業のIT管理者にとっては、QMRの導入と運用がこれまでよりもはるかに簡単になるはずです。

QMRが実際に動くときの流れを詳しく知ろう

QMRがどのように動作するのか、その全体像を順を追って説明しましょう。実際にパソコンが起動できなくなった場面を想像しながら読んでみてください。

最初の段階は障害の検出です。Windows11は起動を2回以上連続で失敗すると、システムに問題があると判断して自動的にWindows回復環境(WinRE)に移行します。この検出は完全に自動で行われるため、ユーザーが何かをする必要はありません。

次にネットワーク接続が行われます。WinREに入ると、パソコンは有線LANまたは事前に設定されたWi-Fiを使ってインターネットに接続します。企業環境ではXMLファイルで事前にWi-Fiの認証情報を設定しておくことで、この接続をスムーズに行えます。

ネットワークに接続できたら、診断データの送信と修正プログラムの検索が始まります。パソコンはテレメトリデータ、クラッシュログ、更新履歴、構成情報などをMicrosoftのサーバーに送信し、既知の問題に合致するかどうかが照合されます。大規模な障害が発生している場合は、Microsoft内部の対応チームが修正プログラムの開発・検証・配信を迅速に行います。

修正プログラムが見つかればダウンロードと適用が自動的に実行され、パソコンが再起動します。修復が成功すれば通常どおりWindowsが起動し、失敗した場合は再びWinREに戻って同じプロセスを繰り返します。自動修復を有効にしている場合は、設定した間隔で何度もリトライしてくれるので、Microsoftが修正プログラムを公開するまで辛抱強く待ち続けてくれます。

なお、業界の分析によると、QMRを使うことで従来の復旧方法と比べて40~60%の時間短縮が見込まれるとされています。Microsoftも一般的なシステム問題の85%はデータを失うことなく解決できると報告しており、その実用性の高さがうかがえます。

情シス歴10年超の現場視点で語るQMR導入前の「やっておかないと詰む」準備

Windowsのイメージ

Windowsのイメージ

ここからは、実際に企業のIT部門で10年以上システム管理をしてきた経験をもとに、公式ドキュメントやハウツー記事だけでは絶対にわからない「現場のリアル」をお伝えします。QMRの設定方法自体はシンプルですが、それだけで安心するのは正直かなり危険です。QMRが正常に動くための「土台」が壊れていたら、いくら設定をオンにしても意味がないからです。

情シスの現場では、QMRを有効にする前に必ずやるべきことがあります。それがWinREの健全性チェック回復パーティションの容量確認です。驚くことに、社内のパソコンを調査すると3割近くのマシンでWinREが無効になっているか、回復パーティションの空き容量が足りないという状況に遭遇します。とくに2024年から2025年にかけてWindows Updateの過程でWinREの更新に失敗し、知らぬ間にWinREが壊れているケースが非常に多いのです。

2025年10月のセキュリティ更新プログラムでは、WinREのSafe OSイメージを更新する際にドライバの不整合が発生し、一部の環境でWinRE自体が起動不能になるという深刻な問題が報告されました。Windows11については同月中にKB5070773という緊急修正が出ましたが、これを適用していないマシンは今もWinREが壊れたままの可能性があります。さらに2026年3月にはKB5075039というWinRE専用の修復パッケージが再リリースされ、回復環境でのUSB入力デバイスが機能しない問題も修正されています。

つまり、QMRを有効にする前にまず確認すべきなのは、「そもそもWinREがちゃんと動く状態なのか?」という根本的な部分なのです。

WinREの状態を一発で診断するPowerShellスクリプト

管理者権限のPowerShellを開いて、以下のコマンドを順番に実行してください。これだけでWinREとQMRの準備状況が一目でわかります。

reagentc /info

まずこのコマンドの出力結果を確認します。チェックすべきポイントは3つあります。「Windows RE の状態」がEnabledになっていること、「Windows RE の場所」にパスが表示されていること、そしてそのパスに実際にwinre.wimファイルが存在していることです。状態がDisabledだったり、場所が空欄だったりする場合はQMRが動作しません。

続けて、回復パーティションの空き容量を確認しましょう。QMRが修正プログラムをダウンロードして適用する際には、回復パーティションに最低でも250MB以上の空き領域が必要です。以下のコマンドで回復パーティションの状況を把握できます。

Get-Partition | Where-Object {$_.Type -eq 'Recovery'} | Select-Object DiskNumber, PartitionNumber, Size, @{Name='SizeMB';Expression={::Round($_.Size/1MB)}}

このコマンドで表示されるSizeMBの値を確認してください。一般的にWindows11のクリーンインストール環境では約919MBの回復パーティションが作成されますが、古いバージョンからアップグレードした環境や、メーカー製PCの初期状態では500MB前後しかないことがあります。容量が小さい場合は回復パーティションの拡張が必要になりますが、これについては後ほど詳しく説明します。

現場で本当に多いトラブル「WinREが壊れていてQMRが使えない」の直し方

情シスの現場で最も頻繁に遭遇するのが、「reagentc /infoを実行したらDisabledだった」「Windows RE の場所が空欄で何も表示されない」というケースです。この状態ではQMRはもちろん、通常のスタートアップ修復やPCのリセット機能も使えません。パソコンが起動しなくなったときの最後の砦がなくなっている状態で、これは想像以上に危険な状況です。

まずは一番シンプルな方法から試しましょう。管理者権限のコマンドプロンプトで次のコマンドを実行します。

reagentc /enable

「Operation Successful」と表示されれば成功です。ところが、多くの場合ここで「The Windows RE image was not found」というエラーが出ます。これはwinre.wimファイル自体が消えてしまっていることを意味します。Windows Updateの失敗やディスクのクリーンアップ操作で意図せず削除されてしまうことがあるのです。

winre.wimが消失した場合の復旧手順

winre.wimが見つからない場合は、Windows11のISOファイルから新しいwinre.wimを取り出す必要があります。以下は、情シスの現場で何十台ものマシンを直してきた経験に基づく、もっとも確実な手順です。

  1. Microsoftの公式サイトからWindows11のメディア作成ツールをダウンロードし、ISOファイルを作成します。
  2. 作成したISOファイルを右クリックして「マウント」を選択します。仮想ドライブとしてISOの中身にアクセスできるようになります。
  3. マウントしたドライブの
    sources

    フォルダ内にある

    install.wim

    (または

    install.esd

    )を7-Zipなどのツールで開きます。

  4. アーカイブ内の番号フォルダ(通常は「1」)から
    Windows\System32\Recovery

    を辿り、

    Winre.wim

    ReAgent.xml

    の2つのファイルを取り出します。

  5. 取り出したファイルを
    C:\Windows\System32\Recovery

    にコピーします。コピー先のフォルダが隠しフォルダになっているため、エクスプローラーの「表示」メニューから「隠しファイル」のチェックをオンにしておきます。

  6. 管理者権限のコマンドプロンプトで
    reagentc /setreimage /path C:\Windows\System32\Recovery

    を実行して、回復イメージのパスを設定します。

  7. 続けて
    reagentc /enable

    を実行します。今度は「Operation Successful」と表示されるはずです。

  8. 最後に
    reagentc /info

    でWindows REの状態がEnabledになっていることを確認します。念のためパソコンを再起動した後にもう一度

    reagentc /info

    を実行して、再起動後もEnabledのままであることを確認してください。稀に再起動後にDisabledに戻ってしまうケースがあるためです。

BitLocker回復キーを「今すぐ」バックアップすべき理由と具体的な方法

QMRの話をしていて必ずセットで語らなければならないのが、BitLockerの回復キーです。正直に言うと、情シスの仕事で一番心臓に悪い瞬間のひとつが「BitLockerの回復キーがわからないんですけど……」という問い合わせを受けたときです。QMRの復旧プロセス中にBitLockerの回復キーの入力を求められることがありますし、2025年10月のWinRE問題でも回復キーがわからずデータにアクセスできなくなったユーザーが続出しました。

回復キーは「いつか必要になるかも」ではなく「必ず必要になる」と考えてください。とくにWindows11の24H2以降では、セットアップ時にBitLockerが自動で有効化されるケースが増えているため、自分ではBitLockerを有効にした覚えがないのに暗号化されているという方がたくさんいます。

PowerShellで今すぐ回復キーをテキストファイルに保存する方法

管理者権限のPowerShellで以下のコマンドを実行するだけで、BitLockerの回復キーがデスクトップにテキストファイルとして保存されます。

(Get-BitLockerVolume -MountPoint C).KeyProtector > $env:UserProfile\Desktop\BitLocker_Recovery_Key.txt

このコマンドを実行すると、Cドライブに設定されているすべてのキープロテクター情報がデスクトップの

BitLocker_Recovery_Key.txt

に書き出されます。RecoveryPasswordの行に表示される48桁の数字が回復キーです。このテキストファイルをUSBメモリにコピーしたり、クラウドストレージにアップロードしたり、紙に印刷して金庫に保管したりと、必ず2か所以上に保管してください。

パソコンに複数のドライブがある場合は、次のスクリプトですべてのドライブの回復キーを一括取得できます。

$BitlockerVolumes = Get-BitLockerVolume
$BitlockerVolumes | ForEach-Object {
  $MountPoint = $_.MountPoint
  $RecoveryKey = ($_.KeyProtector).RecoveryPassword
  if ($RecoveryKey.Length -gt 5) {
    Write-Output "ドライブ $MountPoint の回復キー: $RecoveryKey"
  }
}

このスクリプトをメモ帳に貼り付けて

GetBitLockerKeys.ps1

として保存し、管理者権限のPowerShellから実行すると、すべての暗号化ドライブの回復キーが一覧表示されます。コマンドプロンプト派の方は、以下のコマンドでも同じことができます。

manage-bde -protectors -get C: > %UserProfile%\Desktop\BitLocker_Recovery_Key.txt

回復パーティションが小さすぎてQMRが失敗する問題の対処法

QMRの設定自体は正しいのに、実際に修復プログラムをダウンロードする段階で失敗するというトラブルがあります。その原因として意外と見落とされがちなのが、回復パーティションの容量不足です。とくにWindows10からアップグレードした環境や、数年前に購入したメーカー製PCでは、回復パーティションが450MB~500MB程度しかないことがあり、最新のWinREイメージと修復プログラムを収めるには不十分なのです。

Microsoftの公式ドキュメントでは回復パーティションの推奨サイズとして最低でも250MBの空きを確保するよう案内していますが、現場感覚では回復パーティション自体を1GB(1024MB)以上にしておくのがベストです。将来のWinRE更新やQMRの修正プログラムのダウンロード領域を考えると、余裕を持たせておくに越したことはありません。

DiskPartを使って回復パーティションを拡張する手順

この手順は上級者向けですが、情シスの現場では頻繁に実施する作業です。実行前に必ずフルバックアップを取得してから作業してください。パーティション操作は一歩間違えるとデータが消える可能性があります。

まず、BitLockerが有効な場合は事前に一時停止するのが鉄則です。管理者権限のPowerShellで次のコマンドを実行します。

Suspend-BitLocker -MountPoint "C:" -RebootCount 0

このコマンドでBitLockerが次回の再起動まで一時停止されます。パーティション操作中にBitLockerが暗号化状態のままだと、操作後の再起動時に回復キーの入力を求められたり、最悪の場合ドライブにアクセスできなくなるリスクがあります。

次に、WinREを無効にします。回復パーティションを操作するためには、まずWinREを切り離す必要があるからです。

reagentc /disable

続いて、DiskPartでパーティションを操作します。管理者権限のコマンドプロンプトから以下のコマンドを順番に実行してください。

diskpart
list disk
sel disk 0
list part
sel part
del part override
sel part
shrink desired=1024
create par primary
format quick fs=ntfs label="Recovery"

ここで非常に重要なのが、次のコマンドです。ディスクがGPT形式の場合(最近のパソコンはほぼすべてGPT)、パーティションのIDとGPT属性を正しく設定しないとWindowsが回復パーティションとして認識してくれません。

set id=de94bba4-06d1-4d40-a16a-bfd50179d6ac
gpt attributes=0x8000000000000001

MBR形式のディスクの場合は、代わりに

set id=27

を実行します。ちなみに、Microsoftの公式ドキュメントではこのIDの再設定について記載が不足しているという指摘がユーザーコミュニティで多数あがっています。formatコマンドを実行するとパーティションのタイプがPrimaryに変わってしまうため、IDを明示的に設定し直す必要があるのです。この手順を抜かすとディスクの管理でドライブレターが割り当てられた普通のパーティションとして表示されてしまい、WinREが正しく動作しません。

DiskPartでの操作が完了したら

exit

でDiskPartを終了し、WinREを再有効化します。

reagentc /enable

最後に

reagentc /info

で状態を確認してください。Windows REの状態がEnabledになり、場所に新しい回復パーティションのパスが表示されていれば成功です。忘れずにBitLockerも再開しておきましょう。

Resume-BitLocker -MountPoint "C:"

知っておくと絶対に役立つQMR関連のPowerShellコマンド集

日常の管理業務やトラブルシューティングで使える、QMR関連のPowerShellコマンドとコマンドプロンプトのコマンドをまとめました。これらを知っているだけで、問題解決のスピードが格段に上がります。

目的 コマンド 実行環境
WinREの状態確認
reagentc /info
管理者コマンドプロンプト
QMRの設定確認
reagentc /getrecoverysettings
管理者コマンドプロンプト
QMR設定のクリア
reagentc /clearrecoverysettings
管理者コマンドプロンプト
WinREの有効化
reagentc /enable
管理者コマンドプロンプト
WinREの無効化
reagentc /disable
管理者コマンドプロンプト
テストモード有効化
reagentc /SetRecoveryTestmode
管理者コマンドプロンプト
WinREへの再起動
reagentc /BootToRe
管理者コマンドプロンプト
BitLocker回復キー取得
(Get-BitLockerVolume -MountPoint C).KeyProtector
管理者PowerShell
BitLocker一時停止
Suspend-BitLocker -MountPoint "C:" -RebootCount 1
管理者PowerShell
回復パーティション情報取得
Get-Partition | Where-Object {$_.Type -eq 'Recovery'}
管理者PowerShell
Windows Updateの履歴確認
Get-HotFix | Sort-Object InstalledOn -Descending | Select-Object -First 20
管理者PowerShell
システムファイルの整合性チェック
sfc /scannow
管理者コマンドプロンプト
DISMによるイメージ修復
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth
管理者コマンドプロンプト

個人的にとくに重宝しているのが、

Get-HotFix

コマンドです。QMRが修正プログラムを適用した後、本当にどのKBが適用されたのかを確認するのに使います。QMRの動作ログは設定アプリの「Windows Update」→「更新の履歴」からも確認できますが、PowerShellで取得したほうがデータとして扱いやすく、複数台のマシンを一括チェックするときに重宝します。

現場でよくある「QMRが動かない」トラブルと泥臭い解決法

ここからは情シスの現場で実際に遭遇した、公式ドキュメントには載っていない「あるある」トラブルとその解決法を紹介します。

会社のWi-Fiがキャプティブポータル方式でQMRがネットに繋がらない

これは企業環境で一番多いハマりポイントです。ホテルやカフェと同じように、ブラウザでログイン画面が表示されるタイプのWi-FiネットワークではQMRのクラウド修復が使えません。WinREにはフルスペックのブラウザが搭載されていないため、認証画面を表示できないのです。WPA2-Enterpriseの802.1X認証も同様に非対応です。

解決策としては、XMLファイルでゲスト用のWPA2-Personal方式のSSIDを別途用意して設定しておくことです。もしくは、緊急時用のモバイルルーターやスマートフォンのテザリングで使えるSSIDを設定しておくのも現実的な方法です。企業環境では「QMR専用のシンプルなWi-Fiネットワーク」をアクセスポイントに追加で設定しておくことを強くおすすめします。

Secure Bootの証明書期限切れ問題に注意

2026年6月にSecure Bootで使われている2011年発行の証明書が期限切れになります。この証明書が更新されていないデバイスは、期限切れ以降Secure Bootのセキュリティ更新が適用できなくなり、2026年10月以降はWindows Boot Managerのセキュリティ修正も受けられなくなります。2026年3月のアップデート(KB5077241)では新しい2023年版証明書の自動配布が段階的に拡大されていますが、すべてのデバイスに行き渡るには時間がかかります。

QMRはWinREからの起動が前提なので、Secure Bootの証明書が古いままだとWinRE自体の起動に影響が出る可能性があります。管理者権限のPowerShellで次のコマンドを実行して、Secure Bootの状態を確認しておきましょう。

Confirm-SecureBootUEFI

Trueと表示されればSecure Bootは有効です。証明書の更新状況をより詳しく確認したい場合は、Windows Updateの履歴でSecure Boot関連のKBが適用されているかをチェックしてください。

BIOS更新後にBitLockerが回復キーを要求してパニックになるケース

これは本当によくある話です。BIOSの更新をかけたら次の起動時にBitLockerが「回復キーを入力してください」と表示して、ユーザーが真っ青になるパターンです。BitLockerはTPM(Trusted Platform Module)のPCR値(Platform Configuration Register)を監視しているため、BIOSの更新によってPCR値が変化すると「セキュリティ上の変更があった」と判断して回復キーを要求します。

これを防ぐには、BIOSの更新やハードウェアの変更を行う前にBitLockerを一時停止するのが鉄則です。先ほど紹介した

Suspend-BitLocker

コマンドを使えば簡単です。RebootCountパラメータを「1」にすると次回の再起動1回分だけ一時停止され、その後自動的に保護が再開されるので、戻し忘れの心配もありません。

Suspend-BitLocker -MountPoint "C:" -RebootCount 1

ただし現実には「突然のWindows Updateで勝手にBIOSが更新された」「ユーザーが知らないうちにファームウェア更新を実行してしまった」というケースも少なくありません。だからこそ、前述のBitLocker回復キーのバックアップは「保険」ではなく「必須」なのです。

USB回復メディアは「最後の砦」として必ず作っておくべき

QMRがどんなに便利でも、WinREが壊れている場合やネットワークに接続できない場合には機能しません。そういった最悪のシナリオに備えて、USB回復メディアを必ず1本は作成しておくべきです。これは情シスの世界では「消火器を置いておく」のと同じくらい当たり前の備えです。

作成方法は非常に簡単です。Windowsの検索バーに「回復ドライブ」と入力して表示されるツールを起動し、「システムファイルを回復ドライブにバックアップします」にチェックを入れて、16GB以上のUSBメモリを挿して作成するだけです。この回復ドライブには最新のWinREイメージが含まれるため、QMRもWinREも使えないという絶体絶命の状況でもパソコンを復旧できる可能性が残ります。

注意点として、回復ドライブは作成した時点のWinREバージョンが記録されます。Windows Updateのたびに古くなっていくので、大きなアップデートのあとには作り直しておくのがベストです。2026年3月のパッチ適用後に作り直しておけば、KB5075039による修正も含まれた最新の回復ドライブになります。

QMR時代に合わせたWindowsバックアップ戦略の最適解

QMRは起動障害を自動修復してくれますが、あくまでOSのブートに関わる問題だけが対象です。ランサムウェアによるファイルの暗号化や、ハードディスク自体の物理的な故障には対応できません。だからこそ、QMRを導入したうえで多層的なバックアップ戦略を組み合わせることが、真のデータ保護になります。

Windows11には標準で複数のバックアップ手段が用意されています。「Windowsバックアップ」アプリはMicrosoftアカウントと連携して設定やアプリの一覧をクラウドに保存し、新しいPCへの移行を簡単にしてくれます。「ファイル履歴」機能はドキュメントや写真などの個人ファイルを定期的に外部ドライブにバックアップし、過去のバージョンに遡ってファイルを復元できます。

しかし情シス的な観点から言うと、もっとも信頼性が高いのはシステムイメージバックアップです。OSごとドライブ全体をイメージ化しておけば、QMRでも直せないレベルの深刻な障害が起きても、バックアップ時点の状態に完全復旧できます。PowerShellで以下のコマンドを実行すれば、Windows標準機能でシステムイメージを作成できます。

wbAdmin start backup -backupTarget:E: -include:C: -allCritical -quiet

このコマンドはCドライブとシステムに必要なすべてのパーティションを、Eドライブ(外付けHDDやネットワークドライブ)にバックアップします。

-allCritical

オプションを指定することで、EFIパーティションや回復パーティションも含めたシステム全体がバックアップ対象になります。これをタスクスケジューラで週1回自動実行するように設定しておけば、いざというときの保険として非常に心強いです。

ぶっちゃけこうした方がいい!

ここまでかなり細かい話をしてきましたが、ぶっちゃけた話をしましょう。QMRの設定方法とか、reagentcのコマンドオプションとか、回復パーティションのサイズがどうとか、そういう個別の知識ももちろん大事です。でも、情シスを10年以上やってきて本当に痛感しているのは、「トラブルが起きてから調べても遅い」という一点に尽きます。

パソコンが起動しなくなってからWinREの状態を確認しても手遅れです。BitLockerの回復キーを忘れたことに気づくのが、まさに回復キーを求められている画面の前では意味がありません。回復パーティションが小さすぎることに気づくのが、QMRが修復プログラムをダウンロードできなかった瞬間では、ただの後悔にしかなりません。

だから個人的にはこうした方がいいと思っています。今日、今すぐ、以下の4つだけをやってください。所要時間は全部合わせても15分もかかりません。

1つ目は、管理者コマンドプロンプトを開いて

reagentc /info

を実行すること。Enabledと表示されたらOK、Disabledなら本記事の手順で直す。2つ目は、PowerShellで

(Get-BitLockerVolume -MountPoint C).KeyProtector

を実行してBitLockerの回復キーをテキストファイルに保存し、USBメモリかクラウドストレージにコピーすること。3つ目は、設定アプリから「システム」→「回復」→「Quick machine recovery」をオンにすること。4つ目は、検索バーで「回復ドライブ」と入力して、USB回復メディアを1本作っておくこと。

正直、QMRの細かい設定をXMLで追い込むとか、Intuneのポリシーをどう配るかとか、そんなことは後からいくらでも調整できます。でもWinREが壊れていることに気づかないまま半年過ごすとか、BitLockerの回復キーをどこにも保存していないまま使い続けるとか、そういう「地味だけど致命的な状態」を放置しているのが一番マズいのです。

QMRという素晴らしい機能がせっかく用意されているのに、その土台が整っていなければ宝の持ち腐れです。逆に言えば、この4つの準備さえ済ませておけば、QMRの恩恵をフルに受けられる状態になりますし、仮にQMRでも直せない問題が起きたとしてもUSB回復メディアとバックアップで復旧できます。どんなに高機能な修復ツールも、「事前の備え」に勝るものはない。これが10年以上の情シス人生で学んだ、一番大事な教訓です。

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Windows11のQuickMachineRecoveryに関する疑問解決

QMRを使うにはインターネット接続が必要ですか?

はい、必ず必要です。QMRの核心はクラウド経由でWindows Updateから修正プログラムを取得することにあるため、ネットワークに接続できなければクラウド修復のメリットはまったく活かせません。有線LANが使えるのがベストですが、WPA/WPA2認証のWi-Fiでも対応しています。事前にXMLファイルでWi-Fiの情報を設定しておけば、起動障害時に自動的に接続してくれます。ネットワーク接続がどうしても確保できない場合は、従来のスタートアップ修復やUSB回復メディアで対処することになります。

QMRを使うとデータは消えてしまいますか?

いいえ、QMRはOSの再インストールやリセットとは根本的に異なります。あくまで起動に支障をきたしている特定のコンポーネントだけを修正するモジュール型の修復方式を採用しているため、個人ファイルやアプリケーションのデータが失われることは基本的にありません。ただし、万が一のことを考えると定期的なバックアップは絶対に欠かさないでおくべきです。Windows11に標準搭載されている「Windowsバックアップ」機能やファイル履歴機能を活用して、大切なデータを守っておきましょう。

Pro版やEnterprise版でQMRを無効にすることはできますか?

もちろんできます。設定アプリの「システム」→「回復」→「Quick machine recovery」からトグルをオフにすれば無効化できます。コマンドラインからは、XMLファイルでCloudRemediationのstateを「0」に設定して

reagentc.exe /setrecoverysettings

で適用するか、

reagentc.exe /clearrecoverysettings

で設定自体をクリアすることも可能です。Enterprise版やIT管理下にあるデバイスでは、Intuneのポリシーで組織全体を一括管理するのがもっとも効率的です。

古いパソコンでもQMRは使えますか?

QMRにはWindows11 バージョン24H2(ビルド26100.4700以降)または25H2が必要です。これらのバージョンが動作するハードウェアであれば基本的に対応していますが、一部の古いシステムではQMRが正常に機能しないという報告もあります。とくにUEFIの対応状況やWinREの互換性がポイントになるため、テストモードで事前に動作確認しておくことを強くおすすめします。

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まとめ

Windows11のQuickMachineRecoveryは、パソコンの起動障害という最も厄介なトラブルに対する強力な備えです。CrowdStrike事件のような大規模障害から個人のちょっとしたアップデートトラブルまで、クラウドの力を借りてすばやく自動復旧してくれるこの機能は、すべてのWindows11ユーザーが知っておくべき存在といえます。

2026年3月のアップデートでPro版でもデフォルト有効化されたことで、これまでHome版だけの特典だったQMRの恩恵がより多くの方に届くようになりました。設定アプリからたった数クリックで有効にできますし、上級者ならコマンドラインやIntuneを使ってきめ細かくコントロールすることも可能です。テストモードで安全に動作確認もできるので、まだ設定していない方はぜひ今日のうちに有効にしてみてください。パソコンが突然動かなくなってから慌てるのではなく、事前に備えておくことが何よりも大切です。

この記事を書いた人
この記事を書いた人

企業の情報システム部門で10年以上、PC・アカウント・社内ネットワーク・Microsoft 365/Google Workspace運用を担当。年間数百件の問い合わせ対応(PC不調、メール送受信、Excel/Word資料、Teams会議、スマホ連携など)を通じて、初心者がつまずくポイントを「再現→原因切り分け→最短解決」の手順に落とし込んできました

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