2025年10月21日、日本国内で大きなニュースが飛び込んできました。モバイルバッテリー市場で国内シェア32.3%を誇る最大手メーカー、アンカー・ジャパンが、モバイルバッテリー約41万台とスピーカー約11万台の自主回収を発表したのです。
もしあなたがアンカー製品を持っているなら、今すぐこの記事を読んで、あなたの製品が対象かどうか確認してください。なぜなら、この回収対象製品は発火の危険性があり、実際に国内で発火事故が発生しているからです。経済産業省も異例の行政指導に踏み切った今回の事態は、決して軽く見てはいけません。
この記事では、アンカーモバイルバッテリー回収について、対象製品の確認方法から回収手続き、そして今後の対策まで、あなたが知るべきすべての情報を網羅的にお届けします。あなたとあなたの大切な人の安全を守るために、最後まで読んでいただければ幸いです。
アンカーモバイルバッテリー回収の全体像

今回のアンカー製品回収は、2022年12月から2025年10月までに販売された製品が対象となっています。この期間に購入された方は、特に注意が必要です。
回収対象となっているのは、モバイルバッテリー1製品で約41万124台、そしてスピーカー3製品で約11万2113台の合計約52万台という大規模なものです。これは単なる予防措置ではありません。実際に国内で製品が発火する事故が発生し、重大製品事故として41件が経済産業省に報告されているのです。
さらに深刻なのは、これがアンカーにとって初めての回収ではないという点です。2019年7月以降、同社はモバイルバッテリーを中心に8回にわたり計約50万台の自主回収を実施してきました。今回の52万台を含めると、累計で約100万台もの製品に不具合があったことになります。この事実は、消費者として非常に重く受け止める必要があります。
対象製品の詳細と確認方法

Anker公式サイト「製品回収情報」から引用
あなたの手元にあるアンカー製品が対象かどうか、今すぐ確認しましょう。製品の裏面や側面に記載されている製品型番とJANコードをチェックしてください。
Ankerの公式サイトはこちらから確認できます。
モバイルバッテリー対象製品

Anker公式サイト「モバイルバッテリー / スピーカー回収受付フォーム」から引用
最も対象台数が多いのは「Anker PowerCore 10000」(製品型番:A1263)です。この製品だけで41万124台もの大規模回収となっています。カラーバリエーションは、ブラック、ホワイト、ブルー、レッドの4色すべてが対象です。
販売期間は2022年12月25日から2025年10月21日までと、約3年間にわたります。つまり、この期間にAnker PowerCore 10000を購入した方は、ほぼすべてが対象となる可能性が高いのです。
スピーカー対象製品
スピーカー製品では、以下の3製品が対象となっています。
「Soundcore 3」(製品型番:A3117)は、ブラック、ネイビー、レッド、グレーの4色で9万1933台が対象です。こちらも2022年12月16日から2025年10月21日まで販売されていました。
「Anker PowerConf S500」(製品型番:A3305)は、ビジネス用途で人気のスピーカーフォンです。ブラックのみの展開で8980台が対象となっています。販売期間は2022年12月29日から2025年10月21日までです。
「Soundcore Motion X600」(製品型番:A3130)は、スペースグレー、ブルー、グリーンの3色で1万1200台が対象です。2023年4月24日から2025年10月21日まで販売されていました。
これらの製品をお持ちの方は、今すぐ使用を中止し、回収手続きを進めることを強くおすすめします。
なぜ回収が必要になったのか
発火の原因となった製造上の問題
今回の回収の直接的な原因は、電池セル内への異物混入です。アンカー・ジャパンの調査によると、セル製造を委託しているサプライヤーの製造工程において、特定時期に異物が混入した可能性のある製品が日本国内に出荷されていたことが判明しました。
具体的には、電極体の切断時に発生する細かな粉じんが適切に処理されていない環境で電池セルが組み立てられたため、一部製品の電池セル内に細かな異物が混入してしまったのです。この異物が原因で、使用に伴い電池セル内部で短絡(ショート)が発生する恐れがあります。
リチウムイオン電池は、正極と負極が直接触れ合うと急激に発熱し、最悪の場合は発火や爆発につながります。今回混入した異物は、この正極と負極をつなぐ橋渡しとなってしまう可能性があるのです。実際に国内で発火事故が発生しており、これは理論上の危険性ではなく、現実に起こりうるリスクなのです。
経済産業省が行政指導に踏み切った背景
今回、経済産業省が販売事業者への初めての行政指導に踏み切った背景には、アンカーの繰り返されるリコールがあります。先ほども触れましたが、同社は過去に8回、計約50万台の自主回収を実施してきました。今回を含めると累計約100万台に上る製品不具合を問題視した経産省は、ついに強い措置を取ることを決断したのです。
経産省はアンカー・ジャパンに対し、年内をめどに以下の4項目についての報告を要求しています。まず第一に、リチウムイオン蓄電池に関する国内販売全製品を対象とした総点検の実施です。これは非常に大規模な作業となるでしょう。
第二に、現在販売している製品についての製造・品質管理体制の詳細です。第三に、実施するリコールの周知・広報の実施状況、そして第四に、実施リコールの進捗状況です。経産省は今後、この報告内容に基づいて適切な対応を行うとしており、業界全体への警鐘ともなっています。
今すぐ確認すべきこと
あなたがアンカー製品を所有しているなら、今すぐ以下の3つのステップを実行してください。
まず、製品の使用を直ちに中止してください。特に充電中の製品は、すぐに電源から外しましょう。発火のリスクがある以上、使い続けることは非常に危険です。「まだ使えるから」「新しく買うのがもったいないから」という考えは、あなたやあなたの家族の安全を脅かします。
次に、製品型番とJANコードを確認してください。製品の裏面や底面、または製品パッケージに記載されています。該当する製品であれば、速やかに回収手続きに進む必要があります。
そして、家族や友人にも情報を共有してください。アンカー製品は人気が高く、多くの人が使用しています。あなたの周りにもアンカー製品を使っている人がいるかもしれません。この情報を共有することで、より多くの人の安全を守ることができます。
現在、アンカー・ジャパンは対象製品の新規出荷および販売を停止しています。しかし、すでに市場に流通している製品や、中古品として売買される可能性もあります。フリマアプリなどで購入を検討している方は、特に注意が必要です。
回収・交換の手続き方法
対象製品をお持ちの方は、アンカー・ジャパンが公開しているオンライン受付フォームから回収・交換の申し込みができます。手続きは以下の流れで進みます。
まず、アンカー・ジャパンの公式サイトにアクセスし、リコール情報のページを開きます。そこにオンライン受付フォームへのリンクがありますので、必要事項を入力してください。入力内容には、お名前、連絡先、製品型番、購入時期などが含まれます。
申し込みが完了すると、アンカーから回収方法についての案内が届きます。多くの場合、着払いでの返送または回収業者による引き取りが選択できます。費用は一切かかりませんので、安心して手続きを進めてください。
製品が回収された後、代替品または返金のいずれかを選択できます。代替品の場合は、同等の新しい製品が送られてくる予定です。返金を選択した場合は、購入価格が返金されます。ただし、購入証明(レシートや注文履歴)が必要になる場合がありますので、可能な限り用意しておくことをおすすめします。
電話での問い合わせも可能です。アンカー・ジャパンのカスタマーサポート(フリーダイヤル:0120-775-171)に連絡すれば、オペレーターが丁寧に対応してくれます。オンライン手続きが不安な方や、特別な事情がある方は、電話での相談をおすすめします。
過去のリコール履歴から学ぶべきこと
アンカー・ジャパンのリコール履歴を振り返ると、非常に重要な教訓が見えてきます。2019年7月の初回リコールから今回まで、わずか6年間で9回ものリコールを実施しているのです。
2019年7月には、USB急速充電器「Anker PowerPort Atom PD 4」で約1800台の回収がありました。これは製造工程での不良品が混在していたためです。2023年2月には、「Anker 535 Power Bank」で約3600台、同年8月と10月には自走式電気掃除機「Anker Eufyシリーズ」で約1万2000台のリコールがありました。
特に注目すべきは、2024年9月と2025年6月に実施された「Anker 334 MagGo Battery」などのリコールです。これはセル製造サプライヤーによる不適切な部材使用が原因でした。そしてその直後の2025年6月には、さらに大規模な41万台超のリコールが実施されています。これも同じくサプライヤーの問題が原因でした。
このパターンから分かるのは、アンカーの問題が単発的なものではなく、サプライヤー管理体制に根本的な課題があるということです。経産省が総点検を要求したのも、この点を重視しているからです。
消費者として私たちが学ぶべきは、ブランド名だけで安全性を判断してはいけないということです。アンカーは確かに人気ブランドですが、その製品にもリスクがあることを理解し、常に最新のリコール情報をチェックする習慣を持つことが大切です。
モバイルバッテリーを安全に使うための5つの鉄則
今回の事態を受けて、モバイルバッテリーを安全に使用するための基本的なルールを改めて確認しましょう。
第一に、信頼できるメーカーの製品を選ぶことです。ただし、今回のアンカーの件が示すように、大手ブランドでも100%安全とは言えません。購入前にリコール履歴を確認し、アフターサポートが充実しているメーカーを選びましょう。
第二に、極端に安価な製品は避けることです。特にネット通販で販売されている格安の海外製品には、安全基準を満たしていないものが混在しています。価格だけで判断せず、PSEマーク(電気用品安全法の基準を満たした製品に表示されるマーク)があることを確認してください。
第三に、高温環境での使用・保管を避けることです。リチウムイオン電池は熱に弱く、直射日光の当たる車内や、暖房器具の近くに置くと劣化が早まり、発火リスクが高まります。特に夏場の車内は非常に高温になるため、絶対に放置しないでください。
第四に、物理的な衝撃を与えないことです。落下させたり、重いものの下敷きにしたりすると、内部の電池セルが損傷し、発火の原因となります。もし落としてしまった場合は、外見に問題がなくても使用を中止し、専門家に点検してもらうことをおすすめします。
第五に、膨張や変形が見られたら即座に使用を中止することです。モバイルバッテリーが膨らんできたり、形が変わってきたりしたら、それは内部でガスが発生している危険信号です。そのまま使い続けると爆発する可能性があります。すぐに使用をやめ、適切に廃棄してください。
アンカーモバイルバッテリー回収に関する疑問解決
対象製品かどうか確認する最も確実な方法は?
製品裏面または側面に記載されている製品型番とJANコードを、アンカー公式サイトのリコール情報ページに掲載されているリストと照合してください。製品型番は「A」から始まる英数字の組み合わせです。不明な場合は、アンカーのカスタマーサポートに製品の写真を送付して確認してもらうこともできます。オンラインで購入した場合は、購入履歴から製品型番を確認できます。
すでに処分してしまった製品も回収対象になる?
すでに処分してしまった場合でも、購入履歴や購入証明があれば返金対応を受けられる可能性があります。アンカーのカスタマーサポートに連絡し、購入時期や購入場所、製品型番などの情報を伝えてください。オンラインショップで購入した場合は、注文履歴のスクリーンショットが有効な証明となります。
回収手続きにはどのくらいの時間がかかる?
オンライン申し込みから代替品の発送または返金まで、通常2週間から4週間程度かかります。ただし、今回は大規模なリコールのため、通常より時間がかかる可能性があります。申し込み後、アンカーから進捗状況についての連絡がありますので、それに従って進めてください。急ぐ場合は、電話で問い合わせることで優先的に対応してもらえる場合もあります。
プレゼントでもらった製品でも回収してもらえる?
はい、購入者本人でなくても回収対象です。プレゼントやもらい物の場合でも、対象製品であれば回収・交換の対象となります。ただし、返金を希望する場合は、購入証明が必要になる場合があります。代替品との交換であれば、購入証明がなくても対応してもらえることが多いです。
中古で購入した製品も対象になる?
中古品であっても、対象の製品型番と製造時期に該当すれば回収対象となります。フリマアプリやリサイクルショップで購入した場合でも、安全性に関わる問題ですので、遠慮なく回収手続きを進めてください。アンカーは製品の安全性を最優先しているため、購入ルートに関わらず対応してくれます。
まとめ
アンカーモバイルバッテリー回収は、国内で約52万台にも及ぶ大規模なものです。対象製品をお持ちの方は、今すぐ使用を中止し、回収手続きを進めてください。発火事故は実際に発生しており、これは決して大げさな警告ではありません。
製品型番A1263の「Anker PowerCore 10000」をはじめ、「Soundcore 3」「Anker PowerConf S500」「Soundcore Motion X600」が対象です。2022年12月から2025年10月までに購入された方は、必ず製品型番を確認してください。
回収手続きは、アンカー・ジャパンの公式サイトから無料で行えます。電話でのサポートも充実していますので、不安な方は気軽に問い合わせてください。あなたとあなたの大切な人の安全のために、今すぐ行動を起こしましょう。
また、この機会にモバイルバッテリーの安全な使い方を見直し、高温環境での使用を避ける、物理的衝撃を与えない、膨張が見られたら即座に使用を中止するなどの基本的なルールを守ることが大切です。安全第一で、スマートなモバイルライフを楽しみましょう。



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