Premiere Proでテロップを選んでも、いつも出ていた赤い枠や青い枠が表示されない。四隅をつかんで横幅を変えたいのに、つかむ場所がどこにも出てこない。そんな状態で手が止まっていませんか。
結論、「変換の直接操作」という表示がオフになっているだけです。キーボードショートカットの画面でこの機能にキーを1つ割り当て、それを1回押せば枠は戻ります。編集中のデータはそのままで、プロジェクトを作り直す必要もいりません。
この不具合がやっかいなのは、再起動しても環境設定をリセットしても消えないところです。当サイトの実機では、思いつくかぎりの対処を23項目ためしました。1つも枠は出ませんでした。調べてみると、原因はまったく別のところにありました。
まぁ細かいことは後で言うとして、まずはザックリ説明していきますね。
原因は「変換の直接操作」がオフになっていたことでした

ザックリで言うと、ソフトの中にある「変換の直接操作」という表示のスイッチが、いつのまにかオフになっています。なぜなら、赤い枠と青い枠は、このスイッチがオンのときだけ画面に描かれるものだからです。スイッチが切れていれば、クリップをどれだけ正しく選んでも枠は一生出てきません。
変換の直接操作(要するに、選んだクリップを画面の上で直接つかんで動かすための表示のこと)は、オンとオフを切り替えられるようになっています。切り替えたつもりがなくても、切り替わってしまうことがあります。
上の画像を見てください。左と右は、同じプロジェクトで、同じテロップを、同じように選んだ状態です。ちがうのはスイッチだけ。左には枠もハンドルもありません。右には青い枠と、8つの四角いハンドルと、まん中のアンカーポイント(要するに、拡大や回転の中心になる点のこと)が出ています。
この切り替えは、当サイトの実機で3往復ためしました。押すたびに枠が消え、もう一度押すと戻る。3回とも同じように反転しました。最後にもう一度オンへ戻したとき、画面に出ている青と赤の画素の数は、いちばん最初とぴったり同じ値に戻っています。
つまり「たまたま直った」ではありません。消す、戻す、また消す、また戻すを再現できたので、これが原因だと言い切れます。ここから、なぜこのスイッチに誰も気づけないのかを見ていきましょう。
リップル削除がグレーで押せない方へ
この機能はメニューのどこにも出てきません

気づけない理由は、この機能がメニューの中に一度も顔を出さないからです。「ファイル」から「ヘルプ」まで、メニューバーを端から端まで開いても、変換の直接操作という項目はどこにもありません。表示メニューの中にもありません。
しかも、初期状態ではキーボードショートカットが割り当てられていません。上の画像は、当サイトの実機でキーボードショートカットの画面を開き、検索欄に「直接」と入れたところです。黄色い枠で囲んだ行が今回の主役ですが、何も割り当てていない状態では、右の「ショートカット」の欄は空っぽのままです。
たとえると、部屋の照明のスイッチが壁ではなく、天井裏に隠れているようなものです。スイッチがあることを知らなければ、床や壁を何時間さがしても見つかりません。消えた照明の前で「電球が切れたのかな」と考えてしまう。今回の不具合で多くの人がつまずくのは、まさにここです。
言い換えると、自分でキーを割り当てて、それを押す。この道以外に戻す方法がありません。だからこそ、次の手順どおりにやれば必ず戻ります。順番に見ていきましょう。
直し方はキーを割り当てて1回押すだけです

やることは2つだけです。1つめが、変換の直接操作に好きなキーを割り当てること。2つめが、そのキーを押すこと。慣れていれば2分で終わります。
まずショートカットを割り当てます
ショートカットの割り当ては、1回やれば終わりです。次からは、割り当てたキーを押すだけで枠を出したり消したりできます。
- Premiere Proを開きます
- メニューの「編集」から「キーボードショートカット」を選びます
キーで開くならCtrl + Alt + Kです。MacならCommand + Option + Kになります - 開いた画面の上のほうにある検索欄に、
直接と2文字だけ入れます
英語版のソフトならDirect Manipulationと入れてください - 一覧に「変換の直接操作を切り替える」が出てきます
この行の右側にある「ショートカット」の欄が、空になっているはずです - その行の「ショートカット」の空欄をクリックして、割り当てたいキーを1つ押します
当サイトの実機では数字の8を割り当てました。空いているキーならどれでもかまいません - すでに使われているキーを選ぶと、画面の下に警告が出ます
その場合は別のキーに変えてください - 右下の「OK」を押して画面を閉じます
割り当てたいキーがすでに使われていたときは、無理に上書きしないでください。上書きすると、そのキーで使っていた別の機能が押せなくなります。数字の8や9のように、ふだん編集で使っていないキーを選ぶのが安全です。どうしても空きが見つからないときは、Shiftを足したキーにすると空きが増えます。
ここでつまずきやすいのが、コマンドの名前です。日本語版の正式な名前は「変形」ではなく「変換」。変形で検索しても1件も出てきません。検索欄には「直接」の2文字だけ入れるのが確実です。
割り当てたキーを押して枠を戻します
割り当てが終わったら、いよいよキーを押します。押す前に、下ごしらえが3つあります。ここを飛ばすと、正しく割り当てても枠は出ません。
- タイムラインのパネルを1回クリックします
これでキー入力がタイムラインに届く状態になります - 枠を出したいクリップをタイムラインでクリックして選びます
テロップでも動画でもかまいません - 再生ヘッド(要するに、いま何秒目を映しているかを示す縦線のこと)を、そのクリップの上に置きます
- ツールバーが選択ツール(黒い矢印)になっていることを確かめます
キーボードのVを押すと選択ツールに戻ります - 割り当てたキーを1回押します
プログラムモニターに青い枠と、8つのハンドルと、まん中のアンカーポイントが出ます
枠が出たら、四隅のハンドルをドラッグして横幅を変えられます。もう一度同じキーを押すと、枠はまた消えます。オンとオフを行ったり来たりするスイッチなので、消えても慌てないでください。もう一度押せば戻ります。
枠が出るには4つの条件がそろう必要があります

枠が出るのは、4つの条件が全部そろったときだけです。ひとつでも欠けると、スイッチがオンでも画面には何も出ません。ここを知らないと「やっぱり直っていない」と勘違いしてしまいます。
1つめが、変換の直接操作がオンであること。今回の原因はここでした。2つめが、ツールバーが選択ツールになっていること。文字ツールや手のひらツールのままだと出ません。
3つめが、タイムラインでクリップが選ばれていること。プログラムモニターの上でクリックしただけでは、選ばれていないことがあります。4つめが、再生ヘッドがそのクリップの上にあることです。5秒目のテロップを選んでも、再生ヘッドが20秒目にいれば、そのテロップは画面に映っていません。映っていないものに枠は付きません。
下の3つを満たしているのに出ないなら、いちばん上を疑ってください。ほとんどの場合、犯人はスイッチです。
押しても出ないときはこの5つを上から見てください

キーを押しても何も変わらないときは、上から順に5つ確かめてください。実は、当サイトの実機でも1回目は「押しても何も起きない」が起きました。原因は、キーがソフトに届いていなかったことでした。
1つめが、直前にAltキーを触っていないかです。Altを1回押すと、パソコンはメニューバーを操作する状態に入ります。この状態では、次に押したキーをメニューバーが飲み込んでしまいます。ソフトには届きません。Escapeを1回押してから、押し直してください。
2つめが、タイムラインのパネルをクリックしたかです。プロジェクトパネルや文字パネルを触ったあとだと、キーはそちらへ行ってしまいます。
3つめがクリップを選んでいるか、4つめが再生ヘッドがその上にあるか、5つめがツールバーが選択ツールになっているかです。この3つは、さきほどの4つの条件と同じものです。
当サイトでは、キーを押す前にかならずタイムラインをクリックし、キーが届いていることを確かめてから押しました。8回押して8回とも届いています。届いてさえいれば、必ず反転します。
再起動も環境設定のリセットも効きませんでした

ネットに出てくる対処が効かないのには、はっきりした理由があります。オフになった状態が、再起動でも環境設定のリセットでも消えないからです。どの対処もスイッチには触っていません。だから何をしても変わりません。
当サイトの実機で試して、枠が出なかった23項目を全部並べます。すべて自分の目で画面を見て、枠が出ていないことを確かめたものです。
| 番号 | 試したこと | 結果 |
|---|---|---|
| 1 | 定規を表示する | 変わらない |
| 2 | 定規をいったんオフにしてオンに戻す | 変わらない |
| 3 | 選択ツールに持ち替える | 変わらない |
| 4 | タイムラインでクリップを選び直す | 変わらない |
| 5 | 表示倍率を全体表示にする | 変わらない |
| 6 | プログラムモニターのパネルを広げる | 変わらない |
| 7 | ソフトを終了して開き直す | 変わらない |
| 8 | 画面の拡大縮小を100%にしてサインインし直す | 変わらない |
| 9 | プロパティパネルで文字のレイヤーを選ぶ | 変わらない |
| 10 | 外部モニターへの出力設定をオフにする | 変わらない |
| 11 | 「再生中に直接操作を表示」をオンにする | 変わらない |
| 12 | 別のテロップを選ぶ | 変わらない |
| 13 | ベクトルモーションを選ぶ | 変わらない |
| 14 | 何もしないで待つ | 変わらない |
| 15 | プロジェクトを保存する | 変わらない |
| 16 | 選択ツールへ切り替えたことを画面で確認する | 変わらない |
| 17 | 再生ヘッドを選んだクリップの上へ動かす | 変わらない |
| 18 | プログラムモニターのテロップを直接クリックする | 変わらない |
| 19 | 文字ツールで文字の上をクリックする | 変わらない |
| 20 | まっさらな新しいプロジェクトを作る | 変わらない |
| 21 | 外部モニターを外して1画面にする | 変わらない |
| 22 | 環境設定をリセットする | 変わらない |
| 23 | ひとつ前のバージョンで新規プロジェクトを開く | 変わらない |
いちばん怖いのが22番と23番です。環境設定のリセットは、ソフトの設定をまとめて初期状態へ戻す、いわば最後の手段。それでもオフのままでした。ひとつ前のバージョンで新しいプロジェクトを作っても、やはり枠は出ませんでした。
23項目をひとつずつ試して、分かりました。このスイッチは、バージョンをまたいで共有される場所に保存されています。だから入れ直しても直りません。多くの人がここで諦めてしまいますが、諦める必要はありません。押すキーさえ分かれば2分で戻ります。
切り抜きの枠や、再生中だけ消える場合は別のコマンドです

検索欄に「直接」と入れると、似た名前のコマンドが3つ並びます。症状によって割り当てるものが違うので、ここで区別しておきましょう。
| 日本語の名前 | 英語の名前 | これで出るもの |
|---|---|---|
| 変換の直接操作を切り替える | Toggle Transform Direct Manipulation | テロップやクリップの赤い枠・青い枠と、8つのハンドル |
| 切り抜きの直接操作を切り替える | Toggle Crop Direct Manipulation | 切り抜き(クロップ)を調整するときのハンドル |
| 再生中に直接操作を表示 | Show Direct Manipulation During Playback | 再生しているあいだも枠を出したままにする |
止めているときは枠が出るのに、再生を始めると消えるという人は、3つめを割り当ててください。切り抜きのハンドルだけ出ないという人は、2つめです。割り当てて押す手順は、どれもまったく同じです。
まだ分かっていないことも、正直に書いておきます

戻し方は確定しました。一方で、分かっていないことも残っています。ここをぼかすと読んだ人が困るので、そのまま書きます。
保存されている場所が、まだ見つかっていません。環境設定のファイルの中身を全部検索しましたが、それらしい項目は1件も出てきませんでした。似た名前の項目が2つありましたが、どちらもオンのまま。犯人ではありませんでした。
なぜオフになったのかも、まだ言えません。ショートカットは最初から割り当てられていなかったので、キーを押しまちがえたという説明は成り立ちません。タッチ操作やペンで切り替わった可能性、更新のときに初期値が変わった可能性が考えられますが、どちらも確かめられていません。
いつからこの状態だったのかも同じです。気づいたのは編集の途中でしたが、その前の何日ぶんかは枠を使っていませんでした。いつ切り替わったのかを、あとから確かめる手段が見つかりませんでした。
それでも、あなたが困っている部分はすでに解決できます。押す場所が分かっているからです。もし今回のやり方でも直らないなら、症状が別のものかもしれません。ベクトルモーションやマスクのハンドルが出ないなど、少し違う症状で困っている人は、テロップの枠が出ないときに最初に試した対処をまとめた記事もあわせて読んでみてください。
同じ症状で困っている人は世界中にいます。ソフトを作っている会社のコミュニティにも、プログラムモニターの直接操作が消えたという相談や、画面の表示がまとめて出なくなったという報告が残っています。ひとりだけの問題ではありません。
いちばん最初にやることは1つだけです

最初の一歩は、キーボードショートカットの画面を開くことです。Ctrl + Alt + K を押して、検索欄に「直接」と入れる。ここまでで30秒もかかりません。
「変換の直接操作を切り替える」が出てきたら、空いているキーを1つ割り当てます。あとはタイムラインを1回クリックして、クリップを選んで、そのキーを押すだけです。
もし押しても何も起きなかったら、Escapeを1回押してから、タイムラインをクリックし直して、もう一度押してみてください。当サイトでつまずいたのも、ここでした。
枠が戻ったら、そのキーは今後もずっと使えます。もし次に同じことが起きても、今度は1秒で戻せます。
- Premiere Pro 26.3.2(ひとつ前の25.6.6も同じパソコンに入っています)
- Windows 11 Home ビルド26200
- グラフィック機能はパソコン内蔵のもののみ
- 画面は内蔵と外部の2枚
この記事に出てくる言葉
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 変換の直接操作 | 選んだクリップを画面の上で直接つかんで動かすための表示。今回の主役 |
| ハンドル | 枠の四隅と辺のまん中に出る、8つの小さな四角。つかんで引っぱると大きさが変わる |
| アンカーポイント | 枠のまん中に出る印。拡大や回転をするときの中心になる点 |
| 再生ヘッド | タイムラインの上にある縦線。いま何秒目を映しているかを示す |
| 選択ツール | ツールバーのいちばん左にある黒い矢印。ものを選ぶための道具 |
| プログラムモニター | 編集した映像が実際に映る、大きいほうの画面 |
| 環境設定のリセット | ソフトの設定をまとめて初期状態へ戻すこと。今回はこれでも直らなかった |



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