Premiere Proを開いたら、「インターネットに接続していない可能性があります」と表示された。けれど、ブラウザではWebページが開き、Zoomも動いている。ネットが切れているようには見えないのに、何を直せばよいのか分からない――そんな、つかみどころのないエラー12080を実機で調べました。設定を手当たり次第に変える必要はありません。
結論、Windowsの「サービス」(要するに、画面に出ないソフトの動き方を管理する場所)で「JusAdmin」を無効にし、「停止」を押すと直りました。
読むと、エラーが起きた理由、止めてよい「JusAdmin」の見分け方、5分ほどでできる操作が順番に分かります。最後には、同じ原因かどうかを最初の1画面で判断できるようになります。確認した実機はWindows 11 Home 64bit、ビルド(要するに、Windowsの細かな版番号)10.0.26200、Premiere Pro 26.3.2です。
まぁ細かいことは後で言うとして、まずはザックリ説明していきますね。
ひとことで言うと、通信の番号不足です

ひとことで言うと、Premiere Proが新しく通信を始めるための番号が、ほとんど残っていませんでした。回線そのものが切れていたのではなく、パソコンの中で番号札が足りなくなっていたのです。
Windowsは、新しい通信ごとに動的ポート(要するに、パソコンが新しい通信をするときに使う整理番号のこと)を一つ使います。実機で使える範囲は49152から65535までで、全部で16,384個でした。
障害中にPowerShell(要するに、Windowsへ文字で調査命令を出す画面)で数えると、TCP(要するに、相手へデータをきちんと届ける通信方法)のBound(要するに、通信を始めるための番号を先に確保した状態)は15,605本。そのうち15,604本が動的ポートの範囲にあり、95.2%が埋まっていました。
そして、調査したところ、実は、その15,604本のうち15,548本を「JWordUpdateService.exe」(要するに、Windowsで動くプログラムファイル)という一つの常駐ソフト(要するに、画面を閉じてもパソコンの裏側で動き続けるソフト)が持っていたのが原因でした。Bound全体の99.6%です。
番号不足の全体像がつかめたところで、次はブラウザだけ使えた理由を順番に見ていきましょう。
なぜブラウザだけ使えたのか

ブラウザやZoomが使えたのは、すでに始まっていた通信が、そのまま残っていたからです。Premiere Proは起動時に新しい通信を始めようとして、空き番号を受け取れずに失敗しました。
パソコンが新しい通信をするときは、お店の呼び出し番号札のようなものを1枚取ります。札は全部で16,384枚。使い終わったら返す決まりです。ブラウザが開けば「ネットは大丈夫」と思いますよね。実機調査でも最初は、その見え方に惑わされました。
ところが、調べてみると、この常駐ソフトは11日かけて番号札をじわじわ増やし、15,548枚を持ったまま返していませんでした。1日あたり約1,400枚の計算です。
だから、新しく来たお客さんにたとえられるPremiere Proへ渡す札がありません。すでに札を持っている人にたとえられるブラウザやZoomは、その札を使い続けられます。見た目には何も問題がないように見えるのに、新しく通信するアプリだけが次々と失敗する。やっかいだった理由は、まさにこの食い違いでした。
エラー文だけを見ると、ファイアウォール(要するに、不審な通信を止める門番の機能)を疑いたくなります。けれど、今回は門で止められたのではなく、出発に使う番号札がなくなっていました。似て見える通信エラーでも、確かめる数字が違います。
調べてみると、失敗までの時間はわずか1~2ミリ秒で、返っていたのはWSAENOBUFS(要するに、新しい通信に回す空きが足りないというエラー)でした。番号は10055です。通信相手まで行って断られたのではなく、パソコンの中で出発する前につまずいていた、と考えると状況がつながります。
停止前でも、8.8.8.8と1.1.1.1へのping(要するに、通信相手まで道が通っているか確かめる簡単な合図)には応答がありました。通信経路は残っています。だから「インターネットに接続していない」という表示をそのまま信じると、原因から遠ざかってしまうのです。
原因は、知らないうちに動いていたソフトでした

実機で調べたところ、原因は「E START Update Center」の「JWordUpdateService.exe」でした。リソースモニター(要するに、パソコンの通信や動作の量をグラフで見る画面)を開くと、通信中のソフトとTCP接続の動きを目で追えます。
さらにタスクマネージャーの「詳細」へハンドル数(要するに、ソフトがつかんだまま使っている仕組みの数)の列を加えると、このソフトは16,123でした。サービス名が分からない段階でも、一つだけ桁が飛び抜けていれば、調査する相手を絞れます。ここが分かりにくいところですが、多いソフトを見つける画面と、実際に止める画面は別です。
netstat(要するに、通信一覧を文字で見る命令)という従来の確認方法では、このBoundの異常を見つけられませんでした。PowerShellのGet-NetTCPConnection(要するに、Windowsの通信状態を詳しく列挙する命令)では確認できています。「一覧に異常がないから通信も正常」とは限らない点にも注意が必要です。
Microsoftの資料でも、動的ポートの空きがなくなり、新しい接続が失敗する現象と調査方法が案内されています。今回の数字は、その状態と一致しました。
名前だけでなく保存場所も一致しました

名前だけでなく、保存場所も一致しました。実機のソフトはC:\Program Files (x86)\JWord\UpdateCenterにあり、「JusAdmin.exe」と「JWordUpdateService.exe」の両方を確認できました。
ここで意外なことが分かりました。通信を大量に確保していたファイル名は「JWordUpdateService.exe」ですが、Windowsのサービス一覧に出る名前は「JusAdmin」です。名前が違うため、原因のファイルを見つけても、どれを止めればよいか迷いやすかったのです。
同じフォルダーには「uninstaller.exe」(要するに、このソフトをパソコンから削除するためのファイル)もありました。E STARTの案内ページでは、Update Centerを自動更新の管理に使うソフトと説明しています。WindowsやAdobeそのものの更新機能ではありません。
原因と「JusAdmin」の見分け方がつかめたところで、ここから実際に止める手順を見ていきましょう。
「サービス」で直す最小限の手順

直す操作は、「JusAdmin」の保存場所を確かめたうえで、「無効」と「停止」を設定することです。似た名前の項目は触らず、画面の表示を一つずつ照らし合わせてください。
- タスクバーの「検索」を押します。
- 「サービス」と入力します。
- 歯車の印が付いた「サービス」を押します。
「サービス(ローカル)」という一覧が開きます。 - 一覧から「JusAdmin」を探します。
- 「JusAdmin」をダブルクリックします。
プロパティ(要するに、選んだ項目の詳しい情報と設定を見る画面)が開きます。

実機のパスはC:\Program Files (x86)\JWord\UpdateCenter\JusAdmin.exeでした。文字が一つでも違う場合は、同じソフトだと判断できません。「キャンセル」を押して中止してください。
- 「実行ファイルのパス」が上記と同じか確認します。
- 同じ場合だけ、「スタートアップの種類」の右側を押します。

- 一覧の「無効」を押します。
- 「適用」を押します。
- 「停止」を押します。
「無効」は再起動後に動かさない設定、「停止」はいまの処理を止める操作です。「停止」だけでは再起動後にまた動くため、両方を設定します。実機でも片方だけで閉じないよう、次の画面で二つを確認しました。

- 「無効」と「停止」を確認します。
- 「OK」を押してプロパティを閉じます。
- サービス一覧で「JusAdmin」の状態が空欄か確認します。
- 同じ行のスタートアップの種類が「無効」か確認します。
- Premiere Proを開き直します。

停止した直後に通信が戻りました
実機では、JusAdminを止めた直後にBoundが15,605本から55本へ減り、Premiere Proのエラー12080も消えました。15,000本以上が一気に解放されたことになります。
| 確認した項目 | 停止前 | 停止後 |
|---|---|---|
| Bound状態のTCP | 15,605本 | 直後は55本 |
| 6つの接続先 | すべて0回/5回 | すべて5回/5回 |
| Adobeのページ | 接続できない | HTTP 200 |
| Google Drive | 一覧を取得できない | 終了コード0 |
| Premiere Pro | エラー12080 | エラーなし |
調査したところ、実は、JusAdminの停止前後で数値と通信結果がきれいに反転したため、この常駐ソフトが原因だと判断できました。
直す手順と復旧の結果を確認できたら、次は同じ原因かどうかを最初の一画面から確かめていきましょう。
今すぐ「JusAdmin」があるか確認する

最初の一歩は、Windowsの検索から「サービス」を開き、一覧に「JusAdmin」があるか見ることです。無ければ、実機で直った原因とは違います。5分もかかりません。
見つかっても、まだ「停止」は押さないでください。ダブルクリックして、実行ファイルのパスがC:\Program Files (x86)\JWord\UpdateCenter\JusAdmin.exeと完全に同じか確認します。名前と場所の両方が一致したら、先ほどの手順へ戻って「無効」と「停止」を設定します。
この2点を確認できれば、似た名前の別サービスを止める事故を避けられます。ゴールは「何となく怪しい項目を止めること」ではなく、実機と同じものだと確かめてから直すことです。
名前と場所の見方が分かったところで、次は「JusAdmin」が見つからない場合へ進みましょう。
一覧に「JusAdmin」が見つからないとき

一覧に「JusAdmin」がなければ、この操作は中止します。見つかっても保存場所が違うなら、別のサービスなので変更しません。
Windows、Microsoft、Adobeなどの名前が付いたサービスを代わりに止めるのも避けてください。名前が少し似ているだけでは、同じ働きとは判断できません。会社や学校のパソコンなら、設定を変えず、画面に出たエラー全文と発生日時を管理者へ伝えます。
まずAdobeのアプリを開き直します
まずAdobeのアプリを開き直します。条件が一致しない場合は、Creative Cloudの再起動が最初の確認です。Adobe公式の対処法にも案内されています。
Creative Cloudを開き、「ファイル」、「Creative Cloudを終了」の順に押します。終了したら、もう一度Creative Cloudを開いてPremiere Proを試します。JusAdminがないのに、似たサービスを止めるより先に行う確認です。
ソフトを削除したい場合も場所を確認します
ソフトを削除したい場合も、先に場所を確認します。実機ではC:\Program Files (x86)\JWord\UpdateCenterに「uninstaller.exe」がありました。同じ場所にない場合は、別のファイルを推測で開きません。
JusAdminを無効にすると、E START製品の自動更新に影響します。自動更新が必要なら、提供元へ相談してください。動的ポートの範囲だけを広げても、番号を持ち続ける原因が残るため、実機で行った解決にはなりません。
別の原因だったときの最初の確認まで済んだら、ここからよくある疑問を順番に見ていきましょう。
よくある質問

なぜブラウザやZoomは使えたのですか
すでに始まっていた通信が番号札を持っていたためです。Premiere Proなど新しい通信には、渡す札が残っていませんでした。
JusAdminを止めれば必ず直りますか
必ずではありません。直ったのは、サービス名と保存場所が実機と一致した場合です。Adobe公式の案内ではなく、停止前後の数値と接続結果から原因だと判断しました。
「停止」だけではだめですか
「停止」だけでは、再起動後にまた動きます。「スタートアップの種類」が「無効」、「状態」が空欄の二つを確認してください。
削除用のファイルが見つからない場合はどうしますか
削除操作を進めません。似た名前のファイルを推測で実行せず、E STARTの提供元へ確認してください。停止と削除は別の操作です。
症状が少し違う場合はどうしますか
Creative Cloud自体が開かない場合は別症状です。「Creative Cloudが開かないときの対処法」を確認してください。
MP4の書き出しでコード3が出る場合は「エラーコード3の解決法」、ブラウザもつながらない場合は「Windows 11で接続できないときの解決法」へ進みます。症状の入口が違えば、確認する場所も変わります。
疑問が解けたところで、最後に出てきた言葉の意味を順番に確かめていきましょう。
この記事に出てくる言葉

この問題を見分ける鍵は、「動的ポート」と「Bound」の意味です。難しく見える言葉も、通信の番号札が空いているか、誰が持っているかを表していると考えれば整理できます。
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| exe | Windowsで動くプログラムファイルです。ファイル名の末尾に付きます。 |
| Bound | 通信を始める前に、使う番号を確保している状態です。極端に多いと、番号不足を疑う手掛かりになります。 |
| TCP | 機器どうしでデータを確実に届けるための通信方法です。Webページの表示などに使われます。 |
| ポート | パソコンが通信を整理するために使う番号です。通信ごとに使い分けます。 |
| 動的ポート | 新しい通信を始めるとき、一時的に割り当てられるポートです。 |
| WSAENOBUFS | 新しい通信に使う空き領域が足りないことを示すエラー名です。 |
| 10055 | WindowsでWSAENOBUFSを表すエラー番号です。 |
| 常駐ソフト | 画面に出ていなくても、パソコンの裏側で動き続けるソフトです。 |
| サービス | Windowsの裏側で動く機能やソフトと、その動き方を管理する仕組みです。 |
| スタートアップの種類 | サービスを自動で動かすか、手動にするか、無効にするかを決める設定です。 |
| プロパティ | 選んだサービスの詳しい情報と設定を表示する画面です。 |
| ハンドル数 | ソフトがファイルや通信など、Windowsの仕組みをつかんでいる数です。 |
| ファイアウォール | 不審な通信を止める門番の機能です。今回の番号不足とは役割が異なります。 |
| リソースモニター | 処理や通信の使用状況を一覧やグラフで確認するWindowsの画面です。 |
| uninstaller | インストール済みのソフトを削除するためのプログラムです。 |
最後にもう一度、最初の一歩だけ確認します。「サービス」を開き、一覧に「JusAdmin」があるか見てください。無ければ、この原因ではありません。あれば保存場所を確かめ、完全に一致した場合だけ「無効」と「停止」を設定します。



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